青少年事情と教育を考える 128
困難乗り越えると、「社会のために役立ちたい」気持ちに

ナビゲーター:中田 孝誠

 今年7月に公表された「子供・若者白書」(内閣府)で、子供や若者は日常生活で困難に直面した時、家族や友人の助けで改善すると、「社会のために役立ちたい」「ボランティアに興味がある」という気持ちが高まるという調査が出ています。

 「子供・若者の意識に関する調査」で、昨年11月から12月、満13歳から29歳までの1万人を対象に行われました。
 この中で、「今までに、社会生活や日常生活を円滑に送ることができなかった経験(困難経験)があった」という回答は49.3%(「どちらかといえばあった」を含む)、「なかった」は39.7%(「どちらかといえばなかった」を含む)です。

 こうした困難を経験した理由としては、「自分は人づきあいが苦手だから」「何事も否定的に考えてしまったから」「悩みなどを相談できなかったから」「集団行動が苦手だったから」といった回答が多くなっています。

 それに対して、困難が改善した経験がある人は60.9%。このうち3割の人が「家族や友人の助け」があったと答えています。

 そして、「社会のために役立つことをしたい」という回答は全体が70.9%ですが、「困難が改善した経験があった」人では80.8%に上っています。「困難の経験がなかった」人は71.9%、「困難はあったが、それが改善した経験がない」人は65.6%でした。

 「ボランティア活動に興味がある」でも全体は43.2%ですが、「困難改善経験があった」人は60.0%と最も高く、「困難の経験がなかった」人は39.0%、「困難改善の経験がなかった」人は37.9%でした。

 日常生活で困難に直面しても、家族や友人の助けで乗り越えられた場合、自分の周囲や社会に目を向けるようになり、役に立ちたいと考えるようになるということでしょう。
 子供が困っていたり悩んでいたりする時にサポートすることは父母として当然ですが、それは同時に重要な社会貢献でもあるわけです。