夫婦愛を育む 125
「気を付ける必要のない立派な人になってください」

ナビゲーター:橘 幸世

 NiziU(ニジュー)という名前のガールズグループが話題のようです。わが街でも彼女たちの歌がいろいろな施設でBGMとして流れています。

 同時に話題になっているのが、彼女たちのプロデュースを手掛けたJ.Y.Parkさんの言葉。とりわけ私が聞いて印象に残ったのは、

 「カメラの前でできない行いはしないでください。(言動に)気を付けようと考えないで、気を付ける必要のない立派な人間になってください」

 芸能プロデューサーがこんなことを言うのか(失礼!)と驚きました。人として何という高みを求めているのだろう、と。
 彼は容姿や才能よりも人格を重要視しているそうです。その理由は、アーティストたちは世の中に良い影響を与える存在であってほしいから。

 これを聞いて、学生時代に聞いた話を思い出しました(正反対の内容です)。

 会社の同僚が4人同じ電車で帰宅途中、彼らは上司の悪口で盛り上がっていました。ある駅でAさんが下車します。すると、残った面々はAさんの悪口を言い始めました。しばらくしてBさんが下車。残った二人の間で今度はBさんの悪口が始まります。やがてCさんも下車。一人になったDさんは、ふとわれに返ってゾッとしました。

 人間の堕落性を上手に表したこの話、実話か教訓的な創作話か定かではありませんが、話してくれた社会人青年のシニカルな表情まで覚えています。
 まだ学生で世間の荒波にさらされていなかった私は、漠然と「怖いな」と感じました。今なお覚えているということは、それなりのインパクトがあったのでしょう。

 Dさんのように、自分も悪口を言われているかもしれないと思えば、人を信じられなくなりますし、本音を言えなくなります。とりわけそういう発言の多い人の前では、自然と気を付けるようになります。それはなかなか窮屈な、悲しい関係です。

 私たち信仰者は、カメラが回っていなくても、神様が、そして他の霊的存在が聞いているのを知っています。加えて、自分の良心も聞いています。それでも、このプロデューサーが掲げる基準に驚いたのは、私の日々の努力が不足しているが故でしょう。

 まだまだ「気を付ける必要のある」ところにいる自分ですが、正しく気を付けて、人を否定せず、聞いたことは他言せず、信頼に根差した安心できる関係を一人でも多くの人と築けたら、とても生き易くなると思います。

 そして「気を付ける必要のない人間」に近づけた分、仮に批判されても心乱れることは少なくなるのではないでしょうか。


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