2020.06.05 17:00
青少年事情と教育を考える 116
高校生のオンライン学習、日本はまだ半数
ナビゲーター:中田 孝誠
新型コロナウイルスの感染拡大により学校が一斉休校になった後、注目を集めたのがオンラインでの授業でした。
もともと日本は、オンラインを使った教育の環境整備が遅れていると指摘されてきました。そのことを示す調査報告が5月に公表されています。
国立青少年教育振興機構による「高校生のオンライン学習」に関する国際意識調査で、日本、アメリカ、中国、韓国の4カ国の高校生に聞いています。ただし、調査は昨年9〜11月に行われていますから、今回の感染拡大による影響は受けていません。回答したのは日本が2204人、アメリカと韓国が約1500人、中国が約3900人です。
それによると、オンライン学習(インターネットを利用した学習サービスで学ぶこと)の経験があるという日本の高校生は48.8%で、他(アメリカ70.8%、中国58.3%、韓国72.4%)を大きく下回っています。また、利用する高校生でも「1週間に1時間未満」が6割でした。
学校の授業でも、「先生はインターネットを活用した授業をする」(日本40.7%)、「先生はインターネットを利用する宿題を出す」(同26.6%)、「先生はインターネットで勉強する方法や技術を教えてくれる」(同24.4%)など、いずれも他国より低くなっています。
また、「親(保護者)は私がインターネットでどのように勉強しているか知っている」(同17.2%)、「インターネットでの学習について親(保護者)と話し合う」(同10.8%)など、他国が50%~60%、低くても20〜30%程度あることと比較すると、高校生とはいえ親の関わり方の少なさも気になります。
一方で、オンライン学習を経験している高校生ほど、「勉強した内容を理解するために、教科書以外の本を読んだりする」「授業の内容を復習する」「自分で学習の計画や目標を立てる」という割合が高くなっていました。
今回の問題で、オンライン学習の環境整備の必要性が高まりました。日本政府もGIGAスクール構想を進め、児童生徒1人1台の端末の整備を前倒しで実現する計画です。
もちろん、オンラインにも一長一短があります。特に子供たちの学習への集中力をどう保つかは、日本に限らず、オンライン学習が進んでいる他国でも課題になっています。
いずれにしても、日本の子供たちが今まであまり経験のなかった学習方法を取り入れることで、学び方の幅を身に付け、学び続ける力を育てる方向に進めることが大切だと思われます。