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お父さんのまなざし 1
キャッチボール

(『グラフ新天地』452号[2006年2月]より)

 もう一度皆さまにぜひ読んでいただきたい、編集部イチオシ!なコンテンツをご紹介。
 男手ひとつで三人の娘を育てるお父さんの、愛情溢れる子育てコラムを毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

コラムニスト 徳永 誠

 「行って来ま~す!」
 「ただいま~!」
 子どもたちの弾む声が私の元気の源だ。

 子どもたちの登校を見送り、そして下校した子どもたちを迎える。親として至福を感じる瞬間である。

 IT(情報技術)時代の恩恵にあずかって、在宅で仕事をすることが増えた。その分、子どもたちと触れ合う時間も多くなった。私の仕事場兼寝室には、三人の子どもたちがしょっちゅう出入りする。

 「パパ~、お仕事忙しい?」
 「パパ~、お仕事終わった?」
 その時がパパの休憩時間。そして子どもたちとの対話の時間だ。

▲筆者の娘さん(当時12歳)が描いた絵より

 学校の様子を聞く。宿題をチェックする。音読を聞いてあげる。百マス計算のストップウォッチを押す。トランプ遊びをする。お正月なら、カルタやすごろく。私の仕事部屋は、子どもたちの遊び場であり、家庭学級でもある。

 子育ては、つくづく親の特権だと思う。それはお母さんの役目に限定されたものでもない。お父さんにだって、父親として子育てを楽しむ権利がある!(キッパリ!)
 教育は、よく「義務」や「責任」という言葉で換言されるが、私は体験上、子育ては親にとって、“喜びの特権”だと感じている。

 一般的に言って、父親が子どもと過ごす時間は決して多くはない。でも、1日30分、いや10分でもいい。子どもと話をする。夜なら、室内でもできる軟らかいボールを使ってのプチ・キャッチボールがお勧めだ。(子どもたちはキャッチボールが大好き)

 子どもたちの話を聞いてあげるだけでいい。ボールのように弾む声が元気の源だ。先に子どもからもらってそれを子どもに返してあげるということでもいいじゃないか、と思う。キャッチボールと同じ。

 「パパ~、キャッチボールしよ~♪」
 これが我が家の父と子のコミュニケーションの始まり。

 「パパ~、音読聞いて~♪」
 これが家庭学級の授業開始の合図。

 「パパ~、パパの部屋にいていい?」
 「いいよ~♪」

 お父さんのまなざしが和む。

 子どもたちのそのまんまの姿に触れること、これが喜びの原点なのだ。それは親である私の心がパッと解き放たれる瞬間でもある。

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 次回もお楽しみに!