歴史と世界の中の日本人
第39回
外国人が見た江戸・明治期の日本人(前編)

(YFWP『NEW YOUTH』197号[2016年11月号]より)

 今から150年ほど前、日本は開国した。

 幕末明治期には多くの西洋人が来日し、日本の自然や文化、習慣に触れ、その印象を記している。

 今回と次回は、江戸・明治期に日本を訪ねた欧米の人々に日本と日本人の姿がどのように映ったのかを通して、「世界の中の日本人」について考えてみたい。

 彼らは日本人の自然との関わりについてこう評価する。
 「日本人ほど生まれつき自然に対する愛着が強く、それが皆の間に広まっている民族を見たことがない」「その季節の特定の花が最高の美しさになった時、それを眺める喜びを味わうためだけの目的で、全国民が花見に出かけるのである」(ウォルター・ウェストン/イギリス)

 「日本の農民は良い農民になる技を持っているのです。日本の整然とした美しい畑を見たら、アメリカ人は恥ずかしいと思うでしょう」(ウィリアム・スミス・クラーク/アメリカ)

 そして日本の女性たちの“おもてなし”は、西洋からのお客様を大いに満足させたようだ。
 「日本を旅行するときに一番素晴らしいことだと思うのは、何かにつけて婦人たちの優しい手助けなしには一日たりとも過ごせないことである。(略)もしもあなたを世話してくつろがせ、どんな用でも足してくれる優しい明るい小柄な婦人たちがいなければ、魅力ある行楽向きの国とはならなかったであろう。彼女たちはいつも笑顔を絶やさず、外国人の客がどんな不合理なことを言っても、朝であろうが、夜であろうが、いつでも客の言いつけを喜んでしてくれるのだ」(ハーバード・G・ポンティング・イギリス)

 さらに日本人の礼儀の素晴らしさをこう絶賛した。
 「世界中のいかなる国民でも、礼儀という点で日本人に優るものはない。(略)身分の低い百姓から最も身分の高い大名に至るまで大変礼儀正しいので、われわれは国全体を、礼儀作法を教える高等学校と呼んでもよかろう」(エンゲルベルト・ケンペル/ドイツ)

 「日本には、礼節によって生活を楽しいものにするという、普遍的な社会契約が存在する」(エドウィン・アーノルド/イギリス)

 近代以前に映し出された日本人の姿は、現代に至ってもその「かたち」を残している。後編もお楽しみに。

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 次回は、「外国人が見た江戸・明治期の日本人」(後編)をお届けします。