コラム・週刊Blessed Life 103
拡大する武漢の新型コロナウイルスによる肺炎

新海 一朗(コラムニスト)

 武漢発の新型コロナウイルス肺炎が中国だけでなく、世界に拡散しています。

 昨年の121日に発症した最初の患者が発見されて以来、およそ2カ月がたち、今頃になって、大騒ぎしている状況です。
 武漢市の対応の遅滞ぶりが際立っており、また、北京の中央政府の対応も現地任せで、有効な対処策を打たないままでした。

 以前、中国で発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)は、20021116日の症例に始まり、200375日の終息宣言まで、およそ8カ月間に、8,096人の症例と707人の死亡(21%)を見ました。

 今回の新型肺炎は、SARSより厄介だといわれています。人から人への感染はすでに確認されていますが、それだけでなく、潜伏期間中(症状が全く外に現れない)にも感染するといわれているからです。
 一体、どれだけ感染が広がるのか、想像できません。

中国・武漢

 2月3日時点でいえば、中国を含め、感染者を出した世界21カ国を合わせると、17,205人に感染者が広がり、361人が死亡しています。すでにSARS8,096人(死者349人)の感染症例を超えているのです。

 中国国内の状況は正確なところ、分かりません。情報統制が厳しいからです。中国政府が発表する数字なども当てになりません。

 武漢は事実上、封鎖された状態です。隣接する黄岡市も封鎖されました。人が、武漢に入っていくことも出ることも許されません。しかし、すでに、春節(中国のお正月)で武漢から200万人から300万人(500万人という説も)が故郷へ移動していますから、これらの人々が感染している場合、中国全土に新型肺炎が広がったと見なければなりません。武漢市の対応はあまりにも甘いものでした。

 新型コロナウルスの発生源ですが、武漢市にある華南海鮮市場であるとされます。そこで食用で売られている野生動物(タケネズミ、コウモリ、ハクビシン、ヘビ、ワニなど)が、そのウルスを持っていたというのが大半の報道です。

 しかし、国際的な医学雑誌「ランセット」が124日に発表した論文は、少し違った見方を示しています。
 121日に最初の患者が確認されたわけですが、その人は、海鮮市場に行っていないというのです。また、別の患者との接触もなく、どこで感染したか分からないといっています。
 最初の患者の41人の中で14人が海鮮市場に行っていないといいますから、新型ウルスは12月以前に出現した可能性があります。それ故、複数の感染源が存在するのではないかという見解を示したのが、米ジョージタウン大学のダニエル・R・ルシー氏です。感染源が海鮮市場であるという決め手はありません。

 中国当局が全てのデータを正確に収集していない可能性は高く、共産党の厳格な官僚制度が情報公開を遅らせ、真相は闇の中です。
 一部の専門家は、市場から20キロメートル南に位置する武漢のウルス研究所から漏れ出した可能性があると指摘しています。

 2018年初め、中国科学院傘下の「国家生物安全研究所」生物兵器の開発研究を行っている)が武漢に設置されました。
 この設備は「武漢ウルスP4研究所」と呼ばれ、危険な病原体を研究している所です。まさかとは思いたくありませんが、もし、生物兵器としての開発途中の危険なウルスが漏れたものであるとすれば、中国という国は途轍もなく「ヤバイ」国であるという以外にありません。