夫婦愛を育む 101
許せる人は、強い人

ナビゲーター:橘 幸世

 先月、「鳥取砂丘 砂の美術館」に家族で行きました。今回は南アジアをテーマに世界各国の砂像家による力作が展示されていました。

 これまでの数回の訪問でも、壮大で技術的に見事な作品を堪能してきましたが、これほど一つの作品が心に残ったのは初めてでした。

 入り口を入った所に座していた大きなマハトマ・ガンジー像。その表情が何とも言えない平安なものだったのです。ずっと見ていたいような、神社仏閣よりもここに初詣に来たいような、心洗われるものでした。一緒にいた主人や子供たちも同じように感じたようです。

▲マハトマ・ガンジー(ウィキペディアより)

 でも実は、その表情より先に私の目を捉えたものがありました。像の背後に彫られていた彼の言葉の一つです。

“The weak can never forgive.
Forgiveness is the attribute of the strong.”

 弱い者ほど相手を許すことができない。
 許すということは、強さの証だ。

 これまでも本欄で、「許すことは手放すこと」、「許すことは自分の幸せのため」と許しについて書いてきました。私自身、許すことの難しさを痛感し格闘し超えるすべを求めてきていたからです。
 現時点で誰かを許せなくて葛藤しているわけではありませんが、大きな関心事であることに変わりないので、このメッセージに惹(ひ)かれたのだと思います。

 許せる人は、強い人。

 この言葉は励みになります。
 理不尽な扱いを受けたり配慮に欠ける言葉をかけられたりすると、自分が粗末に扱われたり傷つけられたと感じ、時に怒り、謝罪などの“埋め合わせ”を求めます。それができない時、損をして我慢しているように感じます。

 けれど聖書ではしばしば、許すことを「負債を帳消しにしてあげること」に例えて語られています(マタイによる福音書 第18章23~35節)。
 借金をチャラにしてあげるには、大きな器が必要ですね。もちろん、私自身も気付かないところで負債を負い、未返済で生きているのは間違いありません。

 また、人の言動に左右されずに(必要以上に傷つかずに)、いい意味で自分を保てる人は強い人です。そこには自分を肯定できる気持ちが土台として必要かと思います。
 私たちは許す闘いをしながら、器が大きく、強くなっていくのかもしれません。

 展示期間が終わり、像はただの砂に戻って、もう二度と見ることができないのが残念ですが、受けたメッセージを大切に、感謝の生活をしていきたいと思います。


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