2019.11.30 22:00
トランプ大統領は再選できるのか!?
~1年後の米国大統領選挙の行方~(前編)
今年の年末から来年末までの期間で、世界が最も注目することは何でしょうか。
それは、「アメリカのトランプ大統領は、1年後の大統領選挙で再選できるのか?」です。
今回は大局的な立場から、この問題を取り上げてみたいと思います。
まず、米国大統領の任期は最大2期までです。
常識ではありますが、ここが第1のポイントです!
2期8年の任期内に、公約した政策をある程度実現しなければなりません。
1期目はそのための基盤づくり、そして2期目はそれを完遂する期間です。
従って、再選しなければ政策を実現することは難しく、公約を果たせません。
過去に、米国大統領を4期務めた人がいます。
第32代大統領フランクリン・ルーズベルトです(任期1933~1945年)。
ニューディール政策と、第二次世界大戦への参戦で有名な大統領です。彼に対する高い評価はありますが、一方で強い批判もあります。
米国初代大統領であるワシントンが2期で退任し、それ以降2期が慣例となっていましたが、野心家だったルーズベルトはその慣例を破って4期務めました。
その後「指導者が無期限に権力を保持、強化することは良くない」ということで1947年3月21日に可決されたのが、アメリカ合衆国憲法修正第22条です(1951年2月27日に成立)。
それ以降、アメリカの公職者の任期は最大2期までと制限されるようになりました。
ここで、ルーズベルトの代表的な言葉を見てみましょう。
「明日やらなければならないことは、今日のうちにやってしまうこと。これが人生の秘訣である」
ただ私が思うに、拙速は危険です。「急がば回れ」という言葉もあります。
私はルーズベルトをあまり評価していません。
ソ連のスターリンらにそそのかされて、日本を戦争に巻き込むように仕掛けました。
特に、ヤルタ会談(ルーズベルト、スターリン、チャーチルの3者による首脳会談)で世界は分断されました。
ここにおいて、スターリンに大きく譲歩をしてしまっています。
第二次世界大戦が終盤に入る中でソ連に対日参戦を求め、ドイツおよび中部・東部ヨーロッパにおける米ソの利害を優先し、その結果、東西が分断されました。
さらに、日本の北方領土をソ連に譲渡する秘密協定を結ぶなどして、大戦後の東西冷戦の端緒となりました。
ソ連による「共産主義拡大政策」を後押ししたのがルーズベルトといってよいでしょう。
ヤルタ会談の場所は、ソ連領のヤルタのロマノフ王朝・ニコライ2世の別荘「リヴァディア宮殿」でした。スターリンはルーズベルトが病気であり、体力が落ちていることをよく知っていて、次のようなことをしました。
ここが、第2のポイントです!
スターリンはわざと大宴会を連日開催し、ルーズベルトを疲弊させ交渉を有利に進めることを考えました。
クリミアの液体の至宝といわれる高級なマサンドラワインの力を利用して、ソ連に有利な条件を引き出したのです。
さて、ルーズベルトの後の大統領は以下です。
再選したのが、トルーマン、アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、ニクソン、レーガン、クリントン、ブッシュ(息子)、オバマの8政権です。
1期で退陣したのが3政権あり、フォード、カーター、ジョージ・HW・ブッシュ(父)です。
1932年以来、政権を握った政党が政権を8年未満で手放した例は1度しかありません。1976年から1980年まで続いた民主党のジミー・カーター政権で、レーガンに敗北しました。
こうしてみると、トランプ大統領は再選する可能性が高いことになります。
ここで、トランプ政権の3年間をまとめてみます。
1.経済:雇用が増え、順調。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)からの脱退があったが、2国間交渉で優位に。
2.外交・安保:各種取引で、米国に有利な条件を引き出すことに成功。
3.メキシコ・米国間へのグレートウォール建設:メキシコの国境は、北アメリカ大陸の陸上で全長3,145キロメートルあるが、既存のものに加えて、少しずつ進めている。
4.最高裁判事は長官を含めて9人いるが、保守派の最高裁判事を新たに任命。同性愛や人口中絶を認めるアメリカ社会の流れを阻止し、支持母体のプロテスタント「福音派」の要請に応える。
5.在イスラエルのアメリカ大使館をエルサレムへ移転。ユダヤ・イスラエルはトランプを支持。
6.日米安保:在日軍事基地を維持し、それを支援する「思いやり予算」の増額、各種兵器の売却。日米安保の不公平を口にすることで、さらなる武器の購入や貿易面での譲歩を日本に求めてくることは間違いない。
(後編に続く)