青少年事情と教育を考える 81
少年の犯罪で目立つ「大麻乱用」と「振り込め詐欺」

ナビゲーター:中田 孝誠

 前回、警察庁の少年非行の統計から、家庭内暴力事件が増えていることを紹介しました。

 近年、殺人などの凶悪犯罪をはじめ少年犯罪の件数は横ばいか減少しています。その中で増加が目立つのが、大麻乱用と振り込め詐欺への加担です。

 昨年1年間に大麻乱用で検挙された少年は434人。5年前の平成25年(61人)の7倍に増えています。このうち、中学生が7人、高校生が74人です。

 昨年の本欄でも書きましたが、高校生は25年以降に10人、18人、24人、32人、53人、そして昨年が74人に増えました。また、20代の検挙者も急増し、昨年は1573人に上っています。
 大麻は入門薬物といわれ、好奇心や興味本位で手を出す若者も少なくありません。

 一方、昨年1年間に振り込め詐欺で検挙された少年は746人です。前年(475人)から約6割の増加で、やはり5年前の平成25年(262人)からは3倍増えました。最年少は実に14歳です。また、全体の4人に3人が「受け子」と呼ばれる役割でした。友人などに誘われて気軽に関わっていると見られ、罪悪感が薄いことがうかがえます。

 事件の一例を挙げると、三重県の16歳の少年ら数名が70代の女性に息子を装って電話をかけ、「女の子を妊娠させた。解決するのに300万円必要」と言って現金をだまし取り、昨年詐欺罪で検挙されました。
 以前は14歳の女子中学生が警察官を装って高齢者に電話をかけていたケースもありました。

 薬物は子供たちの心身に重大な影響を及ぼすのはもちろん、社会全体に大きな問題を引き起こし、どこかでツケを払うことになります。また、子供たちが詐欺に気軽に関わるような社会は、次の時代を担う人材を失うことになります。ですから大麻も詐欺も他人事として考えてはならない問題だと思います。