https://www.kogensha.jp

心のあり方 10
為に生きるのが宇宙の原理

 アプリで読む光言社書籍シリーズ第11弾、『文鮮明先生の自叙伝に学ぶ~心のあり方』を毎週木曜日配信(予定)でお届けしています。
 なお、この記事に記載されている「自叙伝『平和を愛する世界人として』」のページ数は創芸社出版のものです。

浅川 勇男・著

(光言社・刊『文鮮明先生の自叙伝に学ぶ~心のあり方』より)

第三章 お互いを認め合い助け合って生きる

為に生きるのが宇宙の原理

 人は誰でも幸福を求めて生きています。ではどのように生きたら幸福になれるのでしょうか? 文鮮明(ムン ソンミョン)先生は、少年の頃から人の幸せを真剣に考え悩みました。

 「私は人々の流れる涙をぬぐい、心の底に積もった悲しみを吹き払う人になりたかったのです。……人々に幸福をもたらす者になろうという心だけは固まっていきました」(自叙伝58ページ)

 文鮮明先生が悟られたのが、人は「宇宙の原理」に従って生きれば幸福になれる、ということでした。では、宇宙の原理とは何でしょうか? とても単純な原理です。お互いを認め合い、助け合って生きることなのです。まず与え、そして、受けることです。まず、愛して、それから愛されることです。

 神様が創造された宇宙はその原理によって動いています。忠実に実践しているのが、太陽と空気です。地球創成以来、一貫して人間に与え続けています。人間の生存には絶対不可欠なものです。この二つがなければ人間は生存できません。

 ところが、多くの人が感謝していません。太陽と空気に、毎日「ありがとう」と挨拶している人がいますか? 子供が友達からプレゼントをもらえば、「ありがとう」と言います。困窮したときお金を支援されれば誰でも「ありがとうございます」と言います。無償であればなおさらです。太陽や空気は感謝されなくても、与え続けているのです。

 文鮮明先生は「空気とは何か。愛である」(『成和学生の道』54ページ)と語られています。空気がなければ人は瞬間的に死んでしまいます。生活に絶対不可欠な空気を私たちはただで、頂いているのです。光熱費などのように、今月の「空気吸い込み料金請求書」は来ないのです。節約主義のお母さんが子供に「今月は空気を吸いすぎよ。ときどき、息を止めなさいよ」などと怒らないのです。

 太陽はどうでしょう。地球が誕生して以来、光と熱を与え続けています。人間が戦争やテロを行っても与え続けています。光や熱を悪用されても忍耐強く注いでいます。しかも、ただです。水道、ガス、電気には公共料金がかかります。しかし、有り難いことに、太陽からは、請求書が来ません。

 節約主義のお母さんが子供に「今月は太陽に当たりすぎよ。日射料金がいつもより高いじゃない。家に閉じこもっていなさいよ」などと怒ったことはないのです。

 太陽や空気は宇宙の原理を率先躬行(きゅうこう)しています。「宇宙の原理」は、まず与えて「お互いを認め合い、助け合って生きている」ことなのです。この原理にそって生きれば幸福になれるのです。まず、「ために生きる」ことなのです。

 そして、もう一つ悟らなければならないことがあります。人のおかげで生かされていることです。誰かが私のために生きてくれたからこそ生活できるのです。誰かが私を認め、助けてくれたから生かされているのです。

 このことを悟って経営を行い、成功した実業家がいます。経営の神様と言われた松下幸之助さんです。こんな逸話があります。ある時期まで、松下さんは直接人事面接をしました。国立大学卒業後、松下電器に入社して何年にもなる社員を呼んで面接したそうです。

 「君は、どうして、国立大学を卒業できたと思うかね……」と質問しました。

 彼は得意そうに答えました。「はい、私が一生懸命勉強したからです」。松下社長はさらに尋ねます。

 「それだけかい……もうないのかい」。彼は、かなり考えてから答えました。「あ、そうだ。父母が授業料を送り続けてくれたからです」。

 彼は親の苦労を思い出したのです。普通なら、これで面接は終わりですが、さすがは経営の神様です。さらに、尋ねました。

 「それだけかい。まだないかい……」。

 彼は困惑しました。かなり考えましたが、ついに答えを思いつきませんでした。無言で悩んでいる彼に向かって、松下さんは、こう言いました。

 「大学があったからじゃないか。大学がなかったら君は受験できなかったじゃないか」。

 彼は、恥ずかしくなって下を向いてしまいました。当たり前のことに気づけなかったからです。さらに社長は言いました。

 「君の卒業した大学は国立大学だろ。ということは、国民の税金で成り立っているわけじゃないか。誰もが君のように大学に入れるわけじゃない。同年配の青年たちは、高校を卒業してから働いているだろ。その給料から税金を納めているんだ。そのおかげで、君は勉強できたんだよ。だから、君は、その恩を返すために、社会の発展のために有益な商品を開発しなければいけないんだよ」。そして、最後にこう言ったそうです。

 「その道理が分かったなら、君を工場長に人事する。その精神を忘れずに頑張ってくれたまえ」。

 ところで、幸福は家族円満にあります。古来、「家和して万事成る」とも言われます。では、どうしたら、夫婦円満、親子円満になれるのでしょうか。夫婦円満も「宇宙の原理」にそって成されるのです。伴侶のために生きるという愛の原理を悟って、まず、与え、尽くすとき円満になれるのです。

 文鮮明先生は結婚の意義についてこう言われています。

 「結婚は、私のためではなく相手のためにするものです。結婚するとき、立派な人やきれいな人ばかりを追い求めるのは間違った考えです」(自叙伝228ページ)

 「結婚は、ただ婚期が来た男女が出会って一緒に暮らすことではありません。結婚は犠牲の上に成り立ちます。男性は女性のために生き、女性は男性のために生きなければなりません。私の利己心がすべて消えるときまで、絶えず相手のために生きなければなりません」(自叙伝230ページ)

 もし、夫が「俺の世話するために妻がいるのだ」と思い込み、妻に要求ばかりすれば、妻は反発して夫婦関係に亀裂が生じます。「宇宙の原理」に反するからです。

 もし、妻が「夫は自分のために働くのだ」と思い込み、夫に要求ばかりすれば、夫は猛反発するでしょう。妻から雇われてるわけではないからです。夫婦関係は社長と労働者の関係ではありません。自分を利用していることが分かれば、誰でも反発するのです。

---

【み言訓読タイム③】
*自叙伝「平和を愛する世界人」より

 お互いを認め合い助け合って生きる――これが宇宙の真理です。取るに足りない動物もそのことを知っています。犬と猫は仲が悪いといわれていますが、一つの家で一緒に育ててみると、お互いの子を抱きかかえ合って親しくなります。植物を見ても分かることです。木に絡まって上に伸びていく葛(くず)は、木の幹に寄り掛かって育ちます。だからといって、木が「おまえはなぜ私に巻き付いて上がっていくのか」と葛を責めたりはしません。お互いに為(ため)に生きながら、共に生きることがまさに宇宙の原理です。(自叙伝18~19ページ)

 助け合うこともまた、天が結んでくれる因縁です。その時はよく分からなくても、後で振り返ってみて、「ああ、それで私をその場に送られたのか」と悟るようになりました。ですから、突然私の前に助けを乞う人が現れたら、「天がこの人を助けるようにと私に送られたのだ」と考えて、心を込めて仕えます。天が「十を助けなさい」と言うのに、五しか助けないのでは駄目です。「十を与えよ」と言われたら、百を与えるのが正しいのです。人を助けるときは惜しみなく、財布をはたいてでも助けるという姿勢が大切です。(自叙伝74ページ)

---

 次回は、「夫のために生きる妻の愛」をお届けします。


◆『文鮮明先生の自叙伝に学ぶ~心のあり方』を書籍でご覧になりたいかたはコチラ