コラム・週刊Blessed Life 67
教育基本法、このままでいいのか
~心の教育は平和の基礎~

新海 一朗(コラムニスト)

 昭和22年(1947年)に制定された教育基本法は、平成18年(2006年)に改正されました。昭和22年度版が前文に続いて第十一条まであったのを、平成18年度版は前文および第十八条までの内容を盛ってありますから、内容的に増やされています。

 新しく増やされた内容は、「生涯学習の理念(第三条)」「大学(第七条)」「私立学校(第八条)」「家庭教育(第十条)」「幼児期の教育(第十一条)」「学校、家庭および地域住民等の相互の連携協力(第十三条)」「教育振興基本計画(第十七条)」です。
 特に、目を引くのが、家庭教育を第十条に盛り込んだこと、また、生涯教育の理念が第三条に入れてあることです。

 改正された教育基本法をどのように評価するかは、実施状況の中でその効果と効力を見極めなければなりませんが、全体的な印象を言えば、条文内容の踏み込みが足りないこと、当たり障りのない一般的見識の明文化で満足して、物足りない感じがすることです。

 家庭教育を持ち出したのは評価できますが、2006年度以降の日本を見れば分かるとおり、家庭環境が良くなっているとは言えず、さまざまな事件が報じられているのを見ると、むしろ悪化しているのではないかという印象です。

 文科省が家庭教育を叫んでも、結局、それぞれの家庭の中で、父母がきちんと家庭教育をする以外になく、父母の誠意と責任が問われることになります。
 その父母たちが抱える教育の意識や能力の問題も大きく、家庭教育が簡単ではないことは明らかです。次代を担う青少年が健やかに育つためには、子供だけでなく、親も含めて、どうしても人格について、心の在り方について、人間のあるべき姿について学ぶことが必要です。

 教育基本法に目を通してみても、日本から世界に羽ばたく人材を輩出するという気概はどこにもなく、知識教育はもちろん、人格教育、指導者教育のコンセプトがほとんど明確に述べられていません。
 日本の教育から世界平和への未来を拓くのだといういくばくかの気迫でも欲しいところです。
 臨教審(1984~87)、中教審(2001~)と長い時間をかけて検討してきた割には、改正内容の不十分さが感じられるのは残念なことです。

 今一度、考えなければならないことは、平和の基礎として心の教育があるということです。自然を愛する心、人間を愛する心、神様を愛する心、このような愛の心をいかに育むかが大切なことです。
 愛の心を育てる人格教育は、日本にとって、また世界にとって、待ったなしの「至上命題」であると言えるでしょう。