「幸せな結婚」を考える 54

第11章 結婚と純潔

②「性教育」と「純潔教育」

ナビゲーター:長岡 高史

 「純潔」とは「異性と交わりがなく心身が清らかなこと」を意味し、「純潔教育」とは結婚までは異性交際をせず、貞操を守るように導くことを言います。

 戦後、日本は「社会を純化するため、男女間の道徳を確立する」という純潔教育を推し進めていました。

 しかし、1960年代、アメリカで「性の解放(フリーセックス)」を叫ぶ若者たちの運動が起こります。

 「抑圧された性を解放せよ!」と叫ぶ彼らは、あらゆる伝統的価値観を破壊していきます。それによって今まで封じ込められていた「情欲」が解き放たれ、「無節操な性」へと形を変えてしまいます。

 そのような、性の乱れに警鐘を鳴らすかのように現れたのが「エイズ」でした。1981年に、アメリカで世界初のエイズ感染者が認められ、その後10年で100万人にまで広がっていきました。

 日本で初めてエイズ患者が確認されたのが1985年です。そして1992年、エイズ感染から子供たちを守るために、学校での「性教育」に力を入れる方向に教育指導要綱が変更されました。1992年は「性教育元年」といわれています。

 「性」に対する知識は確かに必要です。エイズ感染を含めた「性病」や「望まない妊娠」は、確かに知識があれば避けられるかもしれません。しかし、本当にそれでいいのでしょうか? 性病にかからなければ、妊娠さえしなければ、いくらでも性関係を持ってもいいのでしょうか?(続く)