子育て道しるべ 15
小学女子の子育て体験

(APTF『真の家庭』161号[3月]より)

座間保裕

 今月は、小学6年生までの女子の子育て体験記の一例を紹介します。まだ成長過程にあるので、前途は未知数ですが、参考になるのではないかと思います。

子供に責任を持たせる

 母親の教育信念として、幼少期から事あるごとくに子供に対して、「あなたはどう思うの?」と尋ねて、自分の意思を自分で表現するようにさせていました。そして、自ら言った言葉と行動には責任が伴うし、自由には規律と制約があり、それを守っていくことが大人になっていくことなんだよ、と諭してきました。そういうふうにして、子供を一人の人格体として尊重し育ててきたのではないかと思っています。

善悪の分別を教える

 幼い頃から神様のお話をよく聞かせていました。しかし子供は失敗の連続があって成長してきたように思います。子供が間違いを犯したときは、「なぜそれはいけないことなのか」について「神様によくお祈りして自分の心に尋ねてみなさい」と言って子供に考えさせました。子供が受け入れるまで待って、「ごめんなさい」と言ってきた時には、子供をしっかりと抱きしめてあげました。そして子供が眠った後も、「あなたを愛しているよ」と語りかけて育てました。すると子供は、「お母さんが自分に語りかけてくれていたことはわかっているよ」と応えてくれました。

礼節を生命視

 子育ての基本として、礼節を守り、長幼の序を立てることが、親として大人として当然のこととしていました。そこで、人の話を聞くときには、絶対正座をして話す人をきちんと見て対するように徹底しました。そのせいか背筋もまっすぐになりました。また、人を大切にするという意味で、学校で呼び捨てが当たり前にまかり通っている中でも、「人を尊重すべきだから、○○さんとか○○ちゃんと呼ぶべきである」と指導し実行させてきました。

本をよく読ませる

 子供が物心つく頃から、本の読み聞かせはよくやりました。そのせいか、母親が読んであげた土台があるので、その如く自分で音読する時もありました。暇さえあれば、本屋と図書館に通っていました。そして毎回、図書館から本を十冊位は借りてきては、夢中で読んでいました。分厚い聖書も小学生の時に二回も読破したのは驚きです。このことは、本人の対話能力、学力向上に大いに役立ったのではないかと思います。最初は親が本の良し悪しを選択してあげましたが、そのうちに自分で本を選ぶようになって、本に対する関心が随分高まりました。このようにして本のおもしろさを身につけて育ったことは、子供の成長にとって、大変良いことでした。

我が家が一番ホッとする

 我が家の家庭環境は、物は豊かにあるわけでもなく、経済的にゆとりがあるわけでもありません。そのような中で、親が内も外も同じ姿でいることが、子供に安心感を与えてきたのではないかと思います。さらに、親子共に興味関心が旺盛なので、何事も一緒に取り組んできました。それは親の生い立ちが、自然環境豊かな土地柄であったせいでもあると思います。とにかく親が特別に飾ることもなく自然体でいるので、そのような親の下にいるのが、子供は一番ホッとするようです。

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