子育て道しるべ 9
高校生期(女子)

(APTF『真の家庭』155号[9月]より)

座間保裕

 高校生期は女子と男子に分け、今回は女子教育の観点から考えてみようと思います。

家庭教育時代

 人生を教育の観点で見るときに、零歳〜22歳まで家庭教育時代になります。従って高校生も家庭教育時代の真っ只中にあります。一般的には中高生が親離れし、大学・青年が自立と考えがちですが、家庭教育時代にあっては親も子供も両者がお互いの成長のためにいつも関係性を強く維持すべきことを認識しなければなりません。その投入度は幼児—小学生—中学生—高校生と成長の段階が上がれば上がるほど質量共に多くて高くなります。

反抗期は成長期

 よく中高生期を反抗期と捉えがちですが、それは子供にとって大きな成長期であると捉えるべきだと思います。目の前の父母が尊敬に値し、人生の師であり、いろいろ学ぶべき最高の指導者であるならば、反発、反抗以上に相続、吸収すべき内容のある先輩となるはずです。また、父母にとっても、子供の成長に合わせて子供世代の多くの情報を学び、昔取った杵柄(きねづか)ではありませんが、先輩としての人生経験豊富な知恵を子供に伝授するために頑張ろうと努力し、お互いが謙遜に学び合い、大きく飛躍成長する転換期にすべきでしょう。

何を伝授すべきか

 私が高校教師をしていた当時もそうでしたが、今の女子高校生にも普遍的に身につけておいたら良いと思われることがあります。その内容は当の女子高校生には余り自覚がありません。なぜなら、戦後教育の中に蔓延(まんえん)した男女平等教育の弊害があるからです。男らしさ、女らしさの教育の観点がなくなり、女子特有の身につけておくべきことがなおざりになっています。これらは、結婚して家庭生活を営まないとわからないものです。それは、「教養」「料理」「掃除」「身だしなみ」という学生からしてみると余り価値視できないもののように映るものです。知育偏重教育に加えて家庭教育まで学校や塾にお任せのまる投げ体質が、家庭が教育の主体であるという概念を薄くしているのです。

母と娘で料理と掃除

 女性の人生の中で、「教養」「料理」「掃除」「身だしなみ」がどれほど大切かは、母と娘が協力して、この作業をすることを通して理解されていくことでしょう。それ故に、母親も、夫と子供への愛情表現になる料理を学べば学ぶほど、愛が増える行為になるという信念で娘と一緒に料理研究に取り組んでもらいたいものです。さらに生命のベースが食事であり、体の健康のためにも安全安心食材、新鮮食材などの食品研究をし、食品に対して無知にならないようにしなければなりません。掃除は、家と部屋に対する礼儀であることを教え、それを通して人への愛情心につながることを学んでほしいものです。この家に住まわせていただいてありがたいという感謝の心情で掃除をすることを通して、愛の主人になっていくはずです。

教養と身だしなみ

 これは、他人に対する配慮という形で出てくるもので、周囲を気分良くしてくれます。逆に自分の知識を鼻にかけたり、自分本位に着飾ったりすることは周囲と調和しません。日本には古来「道」のつく文化があります。茶道、華道、武道などは、自己修養のみならず他人に対するおもてなしの訓練になります。また音楽、美術、舞踊などの芸術も、自他共に心を豊かにしてくれると同時に、最終的には男性、夫に対する芸術的所作となるように連結してくるのです。このような文化を高校生期にぜひ嗜(たしな)んでほしいものです。

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