子育て道しるべ 7
中学生期(1)

(APTF『真の家庭』153号[7月]より)

須永孝子

中学生期の特徴と教育

 中学生になる時、誰でも大きな期待と不安を抱えながら学校に行きます。

 そして学校生活に慣れてきて中学生という自覚ができてきます。少しずつ自我が芽生えはじめ、大人へと成長していく体と精神的に自立しようとする心とのバランスがうまく取れなくて、不安定な反抗期に入ってきます。

 「反抗」とは子供から大人になっていく成長の過程で、親に対して親子の関係を変えたいという訴えであり自立の叫びであります。その思いや不満、いら立ちが親から周囲の大人や先生に対しても向けられたりします。また次第に自分に対しても向けられるようになり「自分は何のために生まれてきたか?」と問い詰めたりするようになります。

 この時期は親より友達を優先し、部活やクラブ活動で多くの刺激を受け、友情を育み、先輩後輩の秩序や人間関係を「群れ」の中で学び逞しく成長していきます。

 そんな時、親は子供が自分の力で自立していこうとする心を見守り、口やかましくしないで適切なアドバイスをして「どんな時でもあなたを信じている」というメッセージを送って信頼関係を築くことが大切です。

 中学生期は専門的知識を求めるようになり、興味がある物に対しては深く学ぼうとします。

 しかし最近は情報が多く内容も多様化して子供たちも何をやりたいのか判断ができず、また現実的になって将来に対して夢が持てない子供も多くなってきています。

 国際比較調査の一部ですが、ロサンゼルス、ストックホルム、ハルビン、東京の子供たちを対象に「大きくなったらあなたはどのようになっているか?」と以下6項目のアンケートをしました。①みんなから好かれる②良い親になる③有名になる④お金持ちになる⑤仕事で成功している⑥しあわせな家庭をつくる。東京の子供たちは、ほとんどの項目で「自信が持てない」と出ていました。また他国の都市の子供たちに比べて東京の子供たちは社会的な成功のイメージが学業成績の高低によって最も影響されていると言われています。

 さらに日本の青少年は将来の職業について明確なイメージが持てないようであると記されています(『中学二年生の心理』落合有行著より)。

 子供たちは自分の将来を考える時、自分の興味、能力や適性、親の願いなどを照らし合わせ「どんな自分になるか」を考え学習意欲がわいてくるものです。親や先生、大人たちは子供の学習しようとする「動機」を理解して良きアドバイスをし、それによって学習意欲が湧き自己目標実現のために頑張れるように応援したいものです。

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