夫婦愛を育む 42
「一番大切な人と仲良くなれました」

ナビゲーター:橘 幸世

 たびたびテレビドラマ・ネタで失礼します。
 この秋から始まった『僕らは奇跡でできている』を録画して見ています。
 主人公は、大好きな生き物のことや、自分が気になることについて考え始めると、周囲には目もくれず没頭してしまう性格のため、時に人を困らせ、時にいら立たせる“変わり者”大学講師。授業開始時間も守れず(先生なのに)、事務管理もおざなりで、事務長さんに怒られるのが日常化しています。

 ドラマの中では“発達障害”という言葉は使われていませんが、その設定から、社会の枠の中で生きづらい人たちを扱っているのだろうと思い、見てみることにしました。身近にそういう“不器用な”人がいるので関心があったのです。

 集団行動が苦手で、子供の頃よく注意されていた主人公。大人になった彼が知人にこんなことを語っていました。
 「僕は、人と関わりをもつことが苦手です。どうしたらいいかよく分かりません。でも、一番大切な人と仲良くなれたので、大丈夫です。」
 「一番大切な人って?」
 「僕自身です。昔の僕は、僕のことが嫌いで毎日泣いていました。でも、今は自分と仲良くなれたので、幸せです」

 以前に、「自分が嫌いな人は人間関係がうまくいかない」「自己肯定感が低いと愛を受け止められない」「自分自身の親友になりましょう」と書かせていただきましたが、それらに通ずるメッセージだと感銘を受けました。
 どうやって自分と仲良くなれたのか。この先のドラマで描かれるのを期待しています。

 夫を、子供を、人を、あるがまま受け入れることの大切さは常々語られていますが、その前に自分自身をあるがまま受け入れることが、全ての土台かな、と思います。
 がんを患う人の中で、その運命を嘆く人よりも、がんになったことを受け入れる(がんを自分の一部として受け入れる)人の方が、肉体的苦痛も少なく治癒率も高い、というデータがあります。

 親は、自分の子供に欠点があってもその欠点ゆえに子供を嫌うことはありません。存在自体がいとおしいのです。同様に、自身の欠点もひっくるめて自分と仲良くなれたら、いい意味で、もっと楽に生きられるのではないでしょうか。

 朝、鏡の中の自分に良い言葉掛けをして、一日を出発するのもいいかもしれませんね。