シリーズ・「宗教」を読み解く 41
流動化する世界におけるIAPDの役割③

ナビゲーター:石丸 志信

 2018年8月に韓国・ソウルで開催されたILC32(第32回「国際指導者会議」)には、政治指導者と宗教指導者が共に参加し、平和構築に貢献する各分野の役割と相互の協力について議論がなされた。

▲2018年8月に韓国・ソウルで開催された「ILC32」

 会議2日目の28日午前は、「平和、開発、そして国会議員の役割」をテーマとするセッションが持たれた。
 その中で、スピーチした米国の元下院議員は、韓半島の非核化のために、日米韓の国会議員が共同して努力する必要性を強調した後、指導者の勇気ある行動こそが成功の鍵だと述べた。

 午後は「平和、開発、そして宗教者の役割」のセッションとなり、日本の宗教者もスピーチに加わった。彼は、長年の宗教間対話の実践を踏まえて三つの提言を行った。
 まず、宗教者は、他の宗教・宗派に対する認識不足が軋轢(あつれき)を生んでいるので、他の宗教・宗派に対する理解を深めることが不可欠。第二に、具体的な政策を進める政治家との対話を定期的に促進すること。そして、独裁主義や人権抑圧に対して強い姿勢をとること、である。

 このほか、各国の課題と克服の取り組みなどが発表され、その場は、まさに政治家と宗教家の対話促進の場となった。