2024.12.11 17:00
接吻の相手がイエスだ
『FAX-NEWS』で連載した「四大聖人物語」を毎週水曜日配信(予定)でお届けします。(一部、編集部が加筆・修正)
イエスと弟子たちはゲッセマネに行きました。オリーブの林があってイエスたちがよく祈祷した所です。
イエスはペテロ、ヤコブ、ヨハネを連れて、少し離れた場所で祈っています。
——父よ、み心なら、この苦い杯を遠ざけてください。ただ私の願いを聞いてほしいと申し上げているのではありません。み心にかなうなら、そうなさってくださいと申し上げているのです——
イエスが祈っている間、近くで祈っているはずの三人の弟子は誘惑に負けて、眠り込んでいました。
イエスはたしなめて言います。
「ひとときでも私と一緒に目を覚ましていることができないのか」
同じ事が三度ありました。イエスの一つの基台が崩れたことを意味します。
イエスをとらえるため祭司長や長老たちが送った兵士などが、たいまつをかざし、剣と棒を持って近づいてきました。先頭にいるのはイエスを売ったユダです。イエスは逃げも隠れもしません。
「私が接吻(せっぷん)する相手がイエスだ。つかまえて、引っ張っていけ」。ユダはあらかじめ合図を決めておきました。
ユダはイエスのすぐ近くまで来て、「先生、いかがですか」と言って接吻しました。
兵士たちはイエスに手をかけ、ひもでしばりました。
「強盗に向かうように、剣や棒を持って私をとらえにきたのか。神殿で教えていたときはこんなことはしなかった」。イエスは悲憤を感じます。
弟子たちはこのとき、イエスを見捨てて逃げていきました。自分も同じ目に遭うのではないかと怖かったのです。誰もイエスをかばおうとも、行動を共にしようともしません。
イエスは前大祭司アンナスの家に連れていかれ、アンナスは、イエスを死刑にできる証言を集めるため、その時期の大祭司カヤパの元へイエスを送ります。
弟子のペテロは成り行きを見届けようと、距離を置いてイエスを引き立てる人々の後についていきました。
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次回は、「胸をかきむしるペテロ」をお届けします。