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氏族伝道の心理学 1

 「氏族伝道の心理学」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。祝福家庭の心の悩みをみ言と心理学の両面から分析、氏族伝道勝利の方法を導き出します。

大知 勇治・著

(光言社・刊『成約時代の牧会カウンセリング 氏族伝道の心理学』より)

はじめに
 私は、臨床心理士として、これまで数多くの教会員の相談に乗ってきました。その中で、心の問題や病気を解決する方法として、み言(ことば)を基に心理学を解釈し、整理を試みたのが「成約牧会カウンセリング」です。これは、私が独自に命名しました。

 まず、この名称の意味についてお話しします。「牧会カウンセリング」というのは、キリスト教会の中ですでに使われている名称です。「牧会」というのは、羊たち(信徒)を主イエス・キリスト(牧者)に出会わせていくための魂への配慮、その業を意味します。伝統的には、牧会を行う人が「聖職者」、「牧会者」です。牧会カウンセリングは、キリスト教の信仰に基づいて、信徒を主イエス・キリストにつなげるために行うカウンセリングのことです。

 「成約牧会カウンセリング」は、天地人真(まこと)の父母様のみ言に基づいて、教会員たちを真の父母様につなげていくためのカウンセリングです。

 では、なぜ「成約」なのでしょうか。現在は真の父母様の勝利圏により、後天時代に入っています。後天時代は、すべてが勝利した時代です。ですから本来は、後天時代にカウンセリングは必要ありません。

 しかし、私たち教会員は、真の父母様の勝利の恩恵圏の中にあって後天時代に生きていますが、まだまだカウンセリングが必要な人がたくさんいます。私たちの心情がすべて転換され、本当の意味で真の父母様の勝利圏に私たちの心情が連結された時に、私たちも後天時代の中に生きることができます。

 つまり、私たちは、後天時代に生きているものの、心情が後天時代に入ることができていないのです。そして、取り残されている私たちの心情を後天時代にふさわしいものにするためのカウンセリングとして、成約牧会カウンセリングと命名しました。

 次に、成約牧会カウンセリングが生まれたいきさつについてお話しします。

 私は、臨床心理士の資格をもち、10年間大学の教員をしながら臨床心理学の研究をしてきました。当たり前ですが、私がカウンセリングをするときには、大学院時代から学び、研究をしてきた臨床心理学の理論と技法を使って、問題を解決してきました。それは、教会員に面接をするときも同じでした。夫婦の問題や二世の問題の解決のためにも、それまで培ってきた臨床心理学の理論と技法で対応していました。そして、そうしたやり方でも、祝福家庭の問題は、ある程度は解決していきました。

 しかし、教会員の面接をする際に、臨床心理学の理論と技法だけでは、限界を感じるようになりました。国際祝福による国際結婚や海外での宣教活動、献身的な生活や、様々な摂理活動を行っている教会員は、一般の人たちよりも、ずっと苦労の多い生活をしているからです。

 私は、2005年の一年間、韓国統一教会家庭局からの招聘(しょうへい)で、韓日家庭の日本人婦人を対象とした研修会とカウンセリングを行うために、月に一回、韓国に行っていました。そこで出会った婦人たちは、文化の壁のため多くの苦労をしていらっしゃいました。

 信仰があっても、外国での生活は簡単ではありません。まして韓国は日本によって40年も統治された国です。表向きには文化交流も進み、若い人を中心に日本に対して悪いイメージをもたない国民が増えてきていますが、舅(しゅうと)・姑(しゅうとめ)の世代は、まだまだ日本に対して良いイメージをもっていない人がたくさんいます。また、日本よりも貧富の格差の大きい韓国です。農村部にお嫁に行った婦人たちは、さらに多くの苦労があります。

 私は、教会員の面接を重ねる中で、従来の臨床心理学を中心としたカウンセリングの方法に限界を感じてきました。そして、み言を中心としたカウンセリングの必要性を痛感するようになったのです。

 そうした問題意識をもつ中で、毎月韓国に行っていた私は、外国生活で苦労しながらも、大変な環境を克服し、多くの課題を解決しながら、幸せに暮らしている婦人たちとも多く接することができました。その信仰・心情の姿勢は素晴らしいものです。

 私は、苦労の多い韓日家庭の日本人婦人たちが、どのようにしてその環境を克服していくのか、また自分自身の心情を整え、夫や舅・姑との課題を解決していくのかを考え続けました。そして、様々な導きの中にあって、祝福家庭の何が問題であり、どんな視点で問題を理解し、どのように解決していけばよいのかをまとめることができました。

 こうして理論化し、体系化したものが、成約牧会カウンセリングです。それは、カウンセリングという名前はついていますが、一般的なカウンセリングとは全く違います。何が違うかというと、み言を基本にしているという点です。具体的には、「私たちが現在抱えている問題は、私たち自身の血統が抱える歴史的な問題である」という認識に立って、問題の解決方法を導き出しています。

 成約牧会カウンセリングを体系化してから、韓日家庭に対して自信をもってカウンセリングを行えるようになりました。解決へのイメージを、私自身がもてるようになったからです。

 もちろん成約牧会カウンセリングは、韓日家庭にのみ有効なものではありません。日本での日日家庭の相談でも、米国での国際家庭の相談でも、成約牧会カウンセリングを使っています。それによって、以前よりもずっと問題が解決されるようになってきています。

 さらに、教会員以外の一般の人たちを対象にしている、大学での学生相談や、中学校でのスクールカウンセラーとしても活用しています。その結果、一般のカウンセリングに比べて、ずっと効果が上がっています。普遍的な真理であるみ言に基づいてのカウンセリングですから、効果があるのは、当然といえば当然の話ですが……。

 ところで、成約牧会カウンセリングを整理してわかったことは、結局、私たちの心の問題の解決に必要なことは、氏族的メシヤを勝利していくことだということです。なぜ、心の問題の解決と氏族的メシヤの勝利が関係あるのだろうか、と不思議に感じられる方もいらっしゃるかと思います。本書を読み進めていっていただければ、その疑問は解決されるでしょう。

 また、具体的に氏族的メシヤを進めていく手がかりをつかんでいただけるはずです。さらには、「私や、私の家庭には心の問題はない」と思っていらっしゃる方も、本然の基準から考えたとき、自分自身にも心の問題があることに気づき、より良い自分に変わっていく方法を見いだしていただけると確信しています。

2011年3月12日 大知 勇治

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 次回は「心の問題、心の病気とは」をお届けします。