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【テキスト版】
ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A

 介護・福祉について分かりやすく解説する「ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A」のテキスト版をお届けします。
 ナビゲーターは、家庭連合本部の宮本知洋福祉部長が務めます。動画版も公開中ですので、併せてご視聴ください。

37回 障がい者福祉編⑲
精神障害の娘の行動にどう対応したらよいか悩んでいます

ナビゲーター:宮本 知洋(家庭連合福祉部長)

(動画版『ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A』より)

 医学用語・法律用語としては「障害」とし、一般的な用語としては「障がい」と表記しています。

 今回は、「精神障害の娘がいます。通院はしていますが、日常生活の中での娘の行動にどう対応したらよいのか分からず、悩んでしまうことが多くあります」という質問にお答えします。

 精神障害への対応には、診断や服薬など、医療機関に頼らなければならないことが多いのも事実です。

 しかし日常生活の細かな内容まで一つ一つ医療機関に相談するわけにはいかない、ということもあるのではないでしょうか。生活上の問題をもっと気軽に相談したり、同じような立場の人の体験談を聞いてみたりしたいというかたも多いと思います。

 そのようなニーズに応えるものとして「家族会」があります。
 家族会とは、障がい者を家族に持つ人たちが互いに悩みを分かち合い、支え合うための会です。

 病院を基盤とした「病院家族会」や、保健所が事業として行っている「保健所家族会・家族教室」、地域ごとに運営している「地域家族会」などの形態があり、全国や都道府県ごとの連合会もあります。

 わが国の「精神障害者家族会」は、1960年ごろいくつかの地域で病院のサポートグループとして始まったのが最初だといわれています。
 1965年には「全国精神障害者家族会連合会(全家連)」が結成され、精神障害者への偏見の除去や医療費の軽減、福祉法制定、障がい者の社会復帰や社会参加の促進などに大きく貢献しました。

 2007年に全家連が解散すると、それに代わる団体として「全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)」が設立されました。
 現在、みんなねっとでは全国に約1200の家族会があり、約3万人の会員が活動しているそうです。

 みんなねっとでは、家族会の活動の三本柱として、①相互支援、②学習、③社会的運動を挙げています。

 ①相互支援というのは、会員がおのおのの事情を共有したり、レクリエーションや行事に参加して親睦を深めたり、情報交換をしたりしながら、互いに支え合うことです。
 同じような境遇の仲間がいるということは、それだけで心強いものですし、交流する中で活力や具体的な情報を得ることもできます。

 ②学習とは、学び合い、知見を広めることです。
 家族会では、病気や治療に関することだけでなく、リハビリ・福祉制度や障がい者に関連する法制度、利用できる社会資源についてなど、さまざまな内容を研修会や講演会などを通じて学ぶことができます。

 ③社会的運動は外に向かっての働きかけで、具体的には医療や制度の改善要求、作業所・グループホームなどの開発・運営を行うことです。
 デンマークでノーマライゼーションの考え方が反映された知的障害者法が制定されたのも、知的障害児の親の会の取り組みが発端となっていることを以前紹介しましたね。

 ここまでご紹介してきたのは一般社会における家族会の内容ですが、実は家庭連合(世界平和統一家庭連合)においても、家庭連合の信徒が立ち上げた家族会がいくつかあります。その中でも、最も歴史が古いのが「孝情天愛会」です。

 孝情天愛会は、2009年に「天宝会」という名称で発足した祝福家庭障害児者親の会です。会員は主に知的障害、発達障害、身体障害の子女を持つ親で、2022年から孝情天愛会に名称を変更しました。

 孝情天愛会の次に設立されたのは「天明会」です。
 天明会は、不登校、ひきこもり、非行などの課題がある子女を持つ親の会です。天明会は全国組織ではなく、地域ごとに運営されています。

 一番歴史が新しい家族会は、精神障害者の家族会である「天情家族会」です。
 孝情天愛会の対象ではなかった、統合失調症、双極性障害などの精神障害を抱える人の家族会が必要だという声が高まり、2017年に設立されました。

  これらの家族会は一般社会における家族会と同様、相互支援や学習機会の提供を行っているだけでなく、障がいのある子女の祝福の推進やケアにおいても重要な役割を果たしています。

 皆さまの所属される教会でも家族会の活動が行われているかもしれませんので、関心のあるかたはお問い合わせください。

 それでは、今回の講座はここまでにさせていただきます。