2024.05.26 17:00
【テキスト版】
ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A
介護・福祉について分かりやすく解説する「ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A」のテキスト版をお届けします。
ナビゲーターは、家庭連合本部の宮本知洋福祉部長が務めます。動画版も公開中ですので、併せてご視聴ください。
第25回 障がい者福祉編⑦
息子が重度の統合失調症になり、働くことができなくなりました
ナビゲーター:宮本 知洋(家庭連合福祉部長)
今回は、「息子が重度の統合失調症になり、働くことができなくなりました。今後、どのように生計を立てていけばよいでしょうか?」という質問にお答えします。
障がいが重度の場合、就労するのが難しいこともあります。また就労できたとしても、障がいの故に仕事が制限され、生活するのに十分な給料を得ることができないというケースも少なくありません。
そのような人たちを支える制度として「障害年金」があります。
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになったときに受け取ることができる年金で、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
障害基礎年金は、本人が国民年金に加入している間か、20歳前、もしくは60歳以上65歳未満の時に初診日のある病気やけがで、法令により定められた障害等級表1級・2級の障がい状態にある人に支給されます。
支給金額は、1級の場合、月額約8万円に子供の数に応じた金額が加算されます。2級の場合は、月額約6万5千円に子供の数に応じた加算があります。
一方障害厚生年金は、厚生年金に加入している間に初診日のある病気やけがで、障害基礎年金の1級・2級に該当する障がい状態になった場合、障害基礎年金に上乗せして支給されるものです。
また厚生年金に加入していて、2級に該当しない軽度の障がいを持つようになった場合には、3級の障害厚生年金が支給されます。
障害厚生年金は、その人の平均標準報酬額や厚生年金保険に加入していた期間などによって支給金額が変わります。
また初診日から5年以内に病気やけがが治り、障害厚生年金を受けるよりも軽い障がいが残ったときには、障害手当金(一時金)が支給されます。
障害年金の支給を受けるためには、三つの要件があります。
一つ目は、初診日要件です。
初診日とは、障がいの原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことですが、この日が国民年金または厚生年金保険の被保険者期間でなければなりません。ただし、初診日が20歳前もしくは60歳以上65歳未満の場合はその限りではありません。
初診日は初めて受診した日であって、確定診断を受けた日ではありませんので、ご注意ください。
次の要件は、保険料納付要件です。
障害年金を受給するためには、初診日のある月の前々月までの被保険者期間について、保険料納付期間と免除期間を合算した期間が加入期間の3分の2以上あるか、もしくは初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないことが必要となります。ただし、20歳前に初診日がある場合は、この要件は問われません。
最後に、障害状態該当要件があります。
法令によって定められた障害の等級表があり、それに従って1級または2級だと判断されれば、障害基礎年金を受けることができます。
また厚生年金加入者は、別に定められた等級表で3級と判断された場合にも、それに応じた障害厚生年金が支給されます。
ここで気を付けなければならないのは、障害者手帳と障害年金は全く別の判定方法を用いているということです。ですから、障害者手帳が2級だからといって、障害年金も2級と認定されるとは限りません。
また手帳を持っていなくても、障害年金の申請は可能です。
障害年金の手続きの流れとしては、まず初診日を調べる必要があります。
初診日が分かり、先ほど申し上げた年金受給の要件を満たしていることが確認できたら、医師に診断書の作成を依頼します。
そして病歴・就労状況等申立書を作成し、その他の必要書類と共に提出します。提出先は基本的に、障害基礎年金を申請する場合は、お住まいの市区町村の国民年金課、障害厚生年金を請求する場合は、年金事務所または街角の年金相談センターとなります。
障害年金の申請手続きは複雑な部分があるので、申請前に地方自治体の相談窓口やNPO法人の支援団体などに相談してみてもよいと思います。
それでは、今回の講座はここまでにしたいと思います。