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【テキスト版】
ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A

 介護・福祉について分かりやすく解説する「ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A」のテキスト版をお届けします。
 ナビゲーターは、家庭連合本部の宮本知洋福祉部長が務めます。動画版も公開中ですので、併せてご視聴ください。

第21回 障がい者福祉編③
障害者手帳とは何でしょうか?

ナビゲーター:宮本 知洋(家庭連合福祉部長)

(動画版『ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A』より)

 医学用語・法律用語としては「障害」とし、一般的な用語としては「障がい」と表記しています。

 今回は、「障害者手帳とは何でしょうか? 詳しく教えてください」という質問にお答えします。

 障害者手帳とは、障がい者であることを証明するための手帳で、①身体障害者手帳、②療育手帳、③精神障害者保健福祉手帳を総称したものです。

 地方自治体からこれらの手帳を交付されると、障害者総合支援法の対象となり、さまざまな支援やサービスを受けることができます。

 三種類の手帳について、一つ一つ見ていきましょう。

 まず身体障害者手帳は、身体の機能に一定以上の障がいがあると認められた人に交付される手帳で、身体障害者福祉法に基づいて、都道府県、指定都市または中核市において交付事務が行われます。

 交付の対象となるのは、視覚障害や聴覚障害、肢体不自由などに加え、心臓や腎臓などの内臓疾患も含まれます。

 ただしこの制度は障がいが永続することを前提としているため、発病して間もない時期や乳幼児期、障がいが一時的なものである場合は認定の対象とならないこともあります。

 身体障がいの認定は自治体が指定した医師が診断をして行いますが、その際、障がいの等級も示されます。一番症状が重いのが1級で、級数が大きくなるほど程度が軽くなります。

 次に療育手帳は、知的障害があると判定された人に交付される手帳ですが、実はこの「療育手帳」という名称は全国共通ではなく、自治体によって異なります。

 例えば、東京都では「愛の手帳」という名称を使用していますし、名古屋市では「愛護手帳」と呼んでいます。

 これは、他の二つの障がいとは違い知的障害には明確な法律的定義がなく、療育手帳制度も各自治体が判定基準などの運用方法を独自に定めて実施しているからです。

 自治体ごとに運用方法が違うため、障がいの等級も場所によって異なります。

 例えば東京都の場合、4段階の等級に分かれていて、一番重い1度はIQがおおむね19以下、2度はおおむね20343度はおおむね35494度はおおむね5075のようになっています。

 しかし千葉県では1度、2度ではなくA1B2などのように分類していて、IQの範囲設定も東京とは微妙に異なっています。

 療育手帳の交付を申請する場合は、児童相談所や知的障害者更生相談施設などの指定機関で知能検査を行う必要があります。身体障害者手帳とは異なり、指定医の診断は必要ありません。

 最後に精神障害者保健福祉手帳は、発達障害を含む精神障害の人に支給される手帳です。

 統合失調症、双極性障害などの精神疾患は治癒・回復することもありますが、長期化しやすい傾向があります。疾患が長期化し、その症状と付き合いながら生活していかなければならなくなると、障害者基本法にある「継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態」になるため、精神障害となるのです。

 精神障害者保健福祉手帳を交付する際、精神疾患の状態と能力障害の状態の両面から総合的に判断し、1級から3級までの等級を付けることになります。こちらも1級が最も重度となります。

 身体障害者手帳は原則、更新はありませんが、精神障害者保健福祉手帳は2年ごとに更新が必要です。

 障害者手帳を交付されるということは、ある意味、法的に認められた障がい者になるということですから、それを受け入れることに困難や抵抗を感じる人もいるかもしれません。

 そのお気持ちも理解できますが、一方で手帳を交付されることによって受けられる支援やサービスはとても多く、企業は手帳保持者を一定数雇用しなければならないという制度もあるため、就労の機会も増えるということもぜひ忘れないでいただきたいと思います。

 それでは、今回の講座はここまでにいたします。