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愛と人生の道しるべ 17
思春期最大の課題は性欲の問題

 アプリで読む光言社書籍シリーズ第1弾、『若者に贈る~愛と人生の道しるべ』を毎週日曜日配信(予定)でお届けしています。

酒井 正樹・著

(光言社・刊『若者に贈る~愛と人生の道しるべ』より)

第5章 性への貧しい認識が青春を暗黒へ

思春期最大の課題は性欲の問題

 男性の苦しみは何かといったら、仕事や人間関係を挙げることができるでしょう。しかし、女性にはなかなか分からないでしょうが、すべての男性に共通の課題は性欲の問題であると言ってもいいでしょう。

 どんなに理性で抑えようとしても、性的に誘惑される環境の中に巻き込まれると、強い性欲の力に流され、「今さえよければ、この先どうなってもいい」と、奈落の底に落ちていってしまうのが、悲しい人間の姿です。

 性欲のコントロールについては、男性の誰もが自信がないというのが正直なところではないでしょうか。

 私自身、心の奥底にうごめく性欲の問題に人一倍悩み、これをどのように克服したらいいのか真剣に考えました。愛欲や性欲は身を滅ぼすほどの恐ろしい力があるというのは直感的に分かります。ですから、そのような環境には絶対に近づかないようにしようと思いながらも、誘惑されてみたい、自分も体験して大人の仲間入りをしたいと、葛藤しながらフラフラしていたのが青春時代だったと思います。

 やがて結婚して子供を持つようになり、様々な人生経験を重ねるうちに、私の心の中の一番危険な要素であった性欲が、徐々に落ち着いていきました。今は、青春時代とは全く違った角度から愛や性を見ることができるようになってきたのではないかと思います。

 その視点を、思春期に誰かに教えてもらっていたら、あれほど苦しむことはなかったのではないかと思います。まだまだ未熟な私の考えではありますが、愛と性を考える手掛かりにしてもらえば、青年たちがもっと創造的、建設的になれるのではないかというのが、この本を書く一つの動機となっています。

 性欲を取り上げると、決まって持ち出されるのが心理学者フロイトです。彼の学説には、性欲はすべての欲望の根底にあるものであり、そのエネルギーを昇華することにより、偉大な芸術や文化、スポーツなどが生まれるというものですが、私はこの理論には少し疑問を持っています。確かにそのとおりかもしれませんが、芸術にも文化にもスポーツにも大して興味のない人間は、性欲とどう闘ったらいいのか、何の説明もないからです。

 性のエネルギーを昇華するといっても、爆発的なエネルギーをもてあましている男性は、スポーツや芸術に意識を集中できるものではありません。プロスポーツの有名選手や人気タレントが不倫や男女問題を起こしたといったゴシップを耳にすれば、現実はフロイトの言うようにはいかないことを示しています。

 そこで煩悩多き私が考えついた性欲との闘い方をアドバイスしたいと思います。

1.性欲によって起きた人類歴史の女性の悲劇を考えよう

 戦争や革命のように、理性の歯止めがきかなくなった時、必ず勝者や暴徒らによる強姦(ごうかん)があり、悲劇が引き起こされました。

 その光景を思い浮かべてみましょう。家は焼かれ、女子供の泣き叫ぶ声と逃げ惑う姿、兵士たちによる強姦……。

 強姦されている女性があなたの母親だったら、姉だったら、妹だったらどう思いますか? 悲しみと怒りが込み上げてきませんか? その怒りを、自分の性欲の思いにぶつけましょう。

 人類の歴史は裏を返せば、男性の性欲に踏みにじられた女性の涙の歴史だったのです。その涙と悲しみを直視するなら、浮ついた性欲の思いなど、吹っ飛んでしまうはずです。

2.妊娠や新しい生命について考えよう

 どんなに避妊に注意しても、妊娠する可能性はあります。自分の性欲を満たすことしか考えていない男性は、そこまで考えていません。

 仮に、相手の女性があなたの愛する人であったとしても、彼女は今妊娠して大丈夫なのでしょうか。仮に彼女が学生だとしたら、学業を続けながらの子育ては、なかなかできるものではありません。精神的にもまだ未熟で、親や周囲の反対もあり、周囲の批判的な環境が胎内の新しい生命に良いはずがありません。

 中絶すればいいと安易に考える人がいます。しかし中絶は実に危険な手術であり、女性の肉体にとっては出産と全く同じことなのです。

 中絶を何度も繰り返すと、子供が欲しいと思っても産めない体になってしまう可能性があります。

 肉体的な苦痛とダメージもさることながら、女性にとっては、新しい生命を闇に葬ってしまったという大きな精神的ダメージとなります。

 あなたの気まぐれな性欲の結果、愛する彼女は苦痛と、新しい生命を殺してしまわなければならないという罪の意識で泣きながら中絶手術を受けなければならないのです。

 妊娠三カ月の胎児は、もう人間の形をしています。時には出てきた後、ヒクヒクと動くこともあるのです。その胎児の姿を思い浮かべてみてください。

 妊娠二十二週以降は中絶禁止となります。(続く)

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 次回は、「生命誕生の瞬間に知る性の尊厳性」をお届けします。


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