2024.04.26 12:00
孝情を育む 20
『ムーンワールド』で連載された、蝶野知徳・家庭教育部長による子育てに関するエッセーを毎週金曜日配信(予定)でお届けします。
孝情を育む子女教育について、どんな姿勢で向き合えばいいのかを分かりやすく解説しています。
家庭教育部長 蝶野知徳
ありがとう
子供に力を与える言葉
ある小学校で、子供たちに、「親から、どんな褒め言葉をかけられたら、いちばんうれしいですか?」というアンケートを取ったところ、いちばん多かったのが「ありがとう」だったそうです。単純で短い言葉ですが、子供たちは自分たちよりも人生経験の長い親から、「ありがとう」という言葉をもらうと、本当に力が出るそうです。尊敬するお父さん、お母さんの役に立つことができたという、子女の最高の自尊感情、自己肯定感を育てる力を、この親からの「ありがとう」は持っていると言えます。
子供がお手伝いをしてくれたり、お願いを聞いてくれたりしたとき、当たり前だと思わずに、この短い感謝の言葉を忘れずにかけてあげることが大切です。人に物をもらったときや、お世話になったときには、「お礼をちゃんと言った?」とチェックをすることがありますが、親が子供に「ありがとう」をあまり言っていないのに、子供にばかり求めるのもおかしいでしょう。
お手伝いはもちろんですが、段階によっては、子供が自ら、遊び終わったおもちゃの片付けをしたときにも、「ありがとう」「助かるわ」と言ってあげると、「自分は役に立てる」という体験をしたことになります。結局、自分に価値を感じるということです。
このとき、「いい子だね」「偉いわね」という言葉も悪くはないのですが、それは子供を“評価”することにもなるのです。ですから、親に評価されるために親の前では良いことをする、という学習になり、本性を刺激しないのです。あくまで人を喜ばせる喜びを体験させることがポイントです。自尊感情や自己肯定感というものの本質は、「自分に価値を感じている」か、というところにあります。
父母の役割
本性は自分の神的価値を知っています。大切なのは、幼い段階から、その本性と呼応する体験を通し、自分の価値をより深く知りながら成長していくことです。
み言の核心は「ために生きる」ということに尽きるのですが、神様がすでに、その原動力を人間の心の中に与えてくださっているのです。ですから、「ために生きる子供に育てる」というよりは、「子供の本性を刺激する体験をサポートする」といった立場が、父母の役割ではないかと思います。
---
次回は、「子供にもちゃんとあやまる」をお届けします。