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スマホで立ち読み Vol.30
子どもの心をひらく 10

村上小夜子・著

(光言社・刊『子どもの心をひらく』〈20161030日初版発行〉より)

 スマホで立ち読み第30弾、『子どもの心をひらく』を毎週月曜日(予定)にお届けします。
 長年、幼児教育に携わってきた村上小夜子・光の子園副園長が、その経験から得た内容を紹介しています。「ねばならない」「こうあるべき」という教育から、子供が本来持っている神性を引き出す教育へと転換する方法をお伝えします!

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第2章 悪いものを出させる

本音を言えないほうが心配

 一方で、親の言うことをすべて聞く子どももいます。おとなしくて、素直で、何も問題がない、いわゆる「いい子」です。なかには本音を言わずにそのまま大きくなっていく子もいます。

 ところが思春期になって、急に親の言うことを聞かなくなり、いろいろな事件に発展しているのを聞きます。

 親に言っても無駄だ、どうせ言っても聞いてくれない、そんなふうに思っているのでしょう。何かをしたときに、「そんなことをしてはいけません!」とピシャリとやられて、自分の本音を言えなくなってしまっているのです。親の前で「いい子」をしているほうが、親が安心するから、そのようにして、その場を無難に通り過ぎてきた、という話もよく耳にしてきました。

 ある時、急に「ギャー」と泣き声がしました。その子に聞いてみると、「だって、○○くんの手があったんだもん」と言って泣くのです。手を踏まれた子はケロッとしていたのですが、相手の手を踏んだ子が泣いていたのです。

 「それって、逆でしょう」と保育士は思ったのですが、よくよく考えてみると、踏んだ子は「私は悪くない。そこに手を置いたあなたが悪いのよ。私のほうが被害者よ」と、自分を正当化するような泣き方だったと言っていました。

 普通は「ごめんなさい」「痛くなかった?」で、和解する出来事です。相手が怒って泣いているわけでもないのですから。しかし、素直に自分の非を認めることができないのです。それは、日頃、そういった出来事があると、親から怒られてきたのだと思います。自分の非をさらけ出して、すべてを受け止めてくれる親ではなかったのです。

 こうなると、本音を言わせずに、目標を達成させるために我慢だけさせて、本当に立派な子に育つのかと疑問に思います。保育士は、言うことを聞かない子とは、忍耐力と体力を使って格闘します。手を焼きます。「なんで!」と腹も立ちます。しかし、お互いに本音でぶつかってみると、ほとんどが解けてきました。「いい子」でいるほうが心配です。

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 次回は、「悪いものをすべて出させる」をお届けします。



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