https://www.kogensha.jp/shop/detail.php?id=4210

青少年事情と教育を考える 258
「コミュニティ・スクール」が公立学校全体の半数超に

ナビゲーター:中田 孝誠

 コミュニティ・スクールの制度を導入している公立学校が、初めて全体の半数を超えて1万8135校となったことが、文部科学省のまとめで分かりました(2023年11月発表)。

 コミュニティ・スクールとは、学校運営協議会を設置した学校のことです。学校運営協議会は、教育委員会が任命した委員が学校運営と必要な支援について協議するもので、現在の法律で設置が努力義務になっています。

 では、協議会は何をするのでしょうか。
 主な役割は、「校長が作成する学校運営の基本方針を承認する」「学校運営について、教育委員会又は校長に意見を述べることができる」「教職員の任用に関して、教育委員会規則に定める事項について、教育委員会に意見を述べることができる」と定められています。
 学校運営に関して校長をサポートする役割だと言っていいでしょう。

 また文科省では、地域住民が学校と協働して行う活動を「地域学校協働活動」と位置付けて推進しています。
 地域と学校が目標を共有しながらネットワークを形成し、活動を推進する体制をつくっています。その中で、例えば、放課後の子ども教室や学校行事の支援が行われています。

 こうした取り組みを通して、学校を核とした地域づくりを推進するというわけです。
 コミュニティ・スクールが導入されている大きな理由として、教員の働き方改革があります。保護者と地域の支援を受け、教員の負担を軽減するわけです。

 前述のように学校を核とした地域づくりへの期待もあります。
 「社会に開かれた教育課程」を実施し、地域の専門家が授業を担当するなどして子供たちの学力向上に寄与したという自治体や、不登校対策で成果を上げているという自治体の報告もあります。

 一方で課題も少なくありません。一つは、協議会は教育委員会が主体で運営するものですが、学校や教員がその責任を担うことになって、働き方改革にならずにかえって負担が増す可能性があるということです。

 また、協議会の委員としてどのような人を任命するのかが大きな課題となります。この点では教育委員会の責任が問われます。

 もちろん、子供たちの教育、未来世代を育てていくためには、目標やビジョンを学校と家庭、地域が共有しながら、目標に向かっていくという取り組みが重要になってくるのは確かです。