2024.03.07 22:00
男女の違いと夫婦の関係 18
アプリで読む光言社書籍シリーズとして「男女の違いと夫婦の関係」を毎週木曜日配信(予定)でお届けします。
あなたは知っていますか? 男性と女性の違い。同シリーズでは、男女の考え方の根本的違いを知り、夫婦がお互いを理解しあって、本当の「幸せ」をつかむためのキーポイントをお伝えします!
松本 雄司・著
第一章 変わり行く日本人の家庭像
5 男女の心のすれ違い
私たちはお互いに相手のことを「知ってるつもり」でいます。
先日、長野で講演したときに、65、6歳の老夫婦が、「おれたちはもう夫婦のベテラン。40年も連れ添っているばあさんのことなんか知り尽くしているわい」、奥さんも「自分の夫のことはもう髪の毛の数まで分かっとりますわい」と、それくらいに思っていたというのです。
ところが講演の後、ご主人が「いやあ、女というのは男と違うんですなー」と言うのです。奥さんも「ふーん、男っていうのはそんなふうに考えるものかねー」とひとしきり話していました。
私たちは知っているつもりですが、実は分かっていないことがたくさんあるのです。
例えばこういうことがあります。
女性側の不満を聞きますと、「夫が自分の問題を話してくれない」「夫が何を考えているのかよく分からない。感情を表現してくれない」という悩みをよく聞きますし、最も多いのは「自分の話をよく聞いてくれない」という不満です。ほとんどの女性はこういう悩みを持っています。
ところがご主人に聞いてみると、「とんでもない。いやと言うほど聞いてますよ」と言います。ここにも、既にお互いの思いのすれ違いが芽を出しています。
一方、男性の多くが持っている不満のなかに、「せっかくの休日にも妻が自分の趣味に付き合ってくれない」というのがあります。
日曜日や連休に家族サービスをするというと、夫がすぐ考えるのは「どこかに連れて行くこと」――山に行く、海に行く、映画に行く、野球を見に行く、テニスをしに行く、ボウリングに行くと、どこかに連れて行くことを考えるのです。
「今度は久しぶりの連休だから家にいて、二人でじっくり話そうね」と言う夫はいますか? もしそういうことを言ってくれたら、奥さんは「バンザーイ」と言います。それを求めているからです。
ところが男は夢にだに、それが妻の満足する世界だとは思いません。いろいろな所に連れて行ってあげたら、妻や子供は「愛されている」と感じてくれるだろうと思うのです。
ハリー・ブロッドという社会学者によれば、「男性が求める親密さと女性が求める親密さは違う」そうです。男性は感情的な親密さというものを、一緒に働いたり一緒に遊んだりすることを通して得ようとするし、得られると思っています。女性はどんなに一緒にあちこち動き回っても、それだけでは絶対に満足できないのです。
連休中、夫は妻や子供を山や海へドライブに連れて行ったり、へとへとになるまで頑張った。これだけ家族サービスをやったからもう十分だろうと思うのですが、妻は「あー、疲れた」と言うだけです。「これ以上何の文句があるんだ」と言いたくなるかもしれませんが、妻には「つまんない」という気持ちがあるのです。それをご主人はご存じでしょうか?
なぜかというと、妻は夫からどういうときに愛情を感じるかというと、妻の話をよく聞いてくれて、同情してくれたり理解してくれたり褒めてくれたり、あるいは夫も自分のことを話してくれて、そうやってコミュニケーションができて、夫との愛情を確認するときに、夫から愛されていると感じるのです。
もちろんドライブに行ったその車の中で、奥さんが2、3時間ずっとおしゃべりして、それを「うん、なるほど、そうなの」とよく聞いてくれた、そういう場合はいいのです。
つまり、男はドライブに行ったりスポーツをしたりするときに、妻がそばにいてくれれば楽しく感じます。しかし、女性は向かい合って話を聞いてほしいのです。この点だけでも本当に男性と女性は違いがあります。そしてそのことをほとんど分かっていない場合が多いのです。
その点では男性には理解できない女性の心理があります。
夫は厳しい仕事の世界でストレスを感じて家に帰ってきます。家に安らぎと癒しを求めて帰ってきます。
ところが奥さんから機関銃のように次から次にいろいろな愚痴を聞かされると、つい、「うるさい! 家に帰ったときくらい静かにしてくれ!」と怒ってしまう。すると奥さんはまたストレスが溜(た)まって、「この分からず屋!」。こうなるのです。
なぜ、こうなるのか、後ほど詳しくお話ししましょう。
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次回は、「相手のことをどれだけ知っているか」をお届けします。