https://www.youtube.com/watch?v=dC49n0-NQXs

青少年事情と教育を考える 247
「はじめの100か月」を支援する育ちのビジョン

ナビゲーター:中田 孝誠

 子供の成長には「はじめの100か月」を支えることが大切―。

 こども家庭庁の専門部会(「幼児期までのこどもの育ち部会」)で現在、このような議論が行われています。

 「はじめの100か月」というのは、おおよそ母親の妊娠期から小学1年生頃までの期間を指しています。
 この期間の育ちを支えることが、生涯にわたるウェルビーイングの向上に最も重要だというわけです。

 部会では、今後の政策の方向を示す「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なヴィジョン(仮称)」をまとめています。

 ①こどもの権利と尊厳を守る、②「安心と挑戦の循環」を通してこどものウェルビーイングを高める、③「こどもの誕生前」から切れ目なく育ちを支える、④保護者・養育者のウェルビーイングと成長の支援・応援をする、⑤こどもの育ちを支える環境や社会の厚みを増す、という五つの項目です。

 特徴の一つは、アタッチメント(愛着)の重要性が強調されていることです。
 ②で言う「安心と挑戦の循環」というのは、子供が何か不安を感じている時には身近な大人が寄り添って安心させるということです。そういう経験を繰り返すことで、乳幼児期に「安心の土台」を作ります。

 そして、その安心の土台の上で、他の子供や大人と関わったり、自然や見知らぬ場所、絵本など身近なものに出合ったりしながら、興味関心に合わせた遊びなどに「挑戦」できるよう応援するわけです。

 また、④で保護者・養育者を支援・応援すると述べられていることも、孤立した育児などを防ぐ意味で重要な点だといえます。

 さらに、⑤のように子供や保護者に直接接する専門職や地域の施設や文化といった「環境や社会の厚みを増す」ことも子供たちの成長には重要だというわけです。

 こうしたビジョンの内容を親はもちろん社会全体で共有し、子育て家庭を社会全体が支え、子供たちが健全に育つ環境をつくっていかなければならないということでしょう。