2023.11.13 17:00
コラム・週刊Blessed Life 289
李克強氏の突然の死に大きな疑惑の目
新海 一朗
「李克強氏、死亡!」
このニュースは大きな衝撃と共に世界中に伝えられました。2023年10月27日のことです。
李克強氏は第7代国務院総理を務め、第17、18、19期党中央政治局常務委員であり、胡錦涛元総書記と同じく共産主義青年団(共青団)の出身です。
習近平党総書記と共に中国共産党第5世代の指導者とされました。経済学博士号を持つ理論家として知られています。
李克強氏は上海の東郊賓館で亡くなりました。
東郊賓館は、中央警衛局が厳重に管理するホテルであり、その中央警衛局を指揮するのは王小洪・公安部長です。
中国語「大紀元時報」の編集長、郭君氏は新唐人テレビの番組「菁英論壇」で、北京の公式発表が李克強氏の死因を心臓病としているが、多くの市民はこれを疑問視していると述べました。
このホテルは中共の公式宿泊施設であり、中央警衛局によって経営されています。従って、李克強氏は中央警衛局の監視下で死亡したと言えます。
李克強氏の突然の死は中共の高官たちの間で大きな動揺を引き起こし、それは長期にわたって中国政治への甚大な影響をもたらすことは不可避であると見られます。
今、最も大きな問題は李克強氏の死因がはっきりしていないことです。
政府の対応は、官僚たちの間に恐怖と疑念を生んでおり、誰もが自分の身の安全を心配しています。
元中国人民公安大学講師の高光俊氏は「菁英論壇」で、公安部長の王小洪氏は中央警衛局を指揮しており、李克強氏が滞在した東郊ホテルも彼の監視下にあると明らかにしました。
王小洪氏は習近平氏が信頼する側近であり、二人は深い関係にあるといいます。
また高光俊氏は解剖や死体調査の可能性は低く、番組放送時点で李克強氏の遺体はすでに火葬されていた可能性が高いと指摘しました。
高光俊氏は、「王小洪のほかに習近平の側近にもう一人警察・司法を統括する党中央政法委員会トップの陳文清がいる。彼は習近平が福建省のトップであった時の部下だ。階級においては、陳文清は王小洪よりも上で、彼は中央政治局委員であり、中央政法委員会の書記だ。陳文清と王小洪の二人が中央書記部に入った時から、私は中国が警察や情報機関の統治する体制に移行する可能性を指摘していた」と語っています。
李克強氏の突然の死を受け、高光俊氏が指摘する情報機関を中心とした統治政治の傾向はさらに明確になったといえます。
最近、中央政法委員会トップの陳文清氏がフォックスコン(台湾に本社を置く企業グループ。電子機器受託生産の世界最大手)の調査のために直接出向いています。
本来ならば、フォックスコンの問題は経済的な範疇(はんちゅう)にとどまるべきであり、中央政治局の委員や政法委員会のトップが直接介入するほどの事態ではないはずです。
これにより情報系の側近が中国の政治に深く関与していることが明らかとなり、その背後に習近平氏の情報機関の活用があると考えられます。李克強氏の死によって、多くの中共幹部が恐怖を感じています。
習近平が権力を握った後、共産党の幹部やその子弟の死亡率は、文化大革命を除けば、最も高くなっています。
共産党の幹部だけでなく、起業家や有名人の死亡率も過去の鄧小平時代や胡錦涛・温家宝時代と比べて顕著に増加しています。
元財政部長の金人慶氏の焼死も謎ですが、習近平氏は、どうやらソ連のKGB(国家保安委員会)時代の恐怖政治を始めたようです。