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青少年事情と教育を考える 235
中高生の英語力、都道府県で差

ナビゲーター:中田 孝誠

 文部科学省の「英語教育実施状況調査」の結果が5月に発表されました(調査は昨年12月に実施)。
 この中で、中学生と高校生の英語力について、都道府県で差があることが明らかになっています。

 文科省の目標では、中学生で英検3級レベル以上の生徒の割合を50%としているのに対して、今回の調査では49.2%でした。高校生では英検準2級レベル以上の割合50%に対して48.7%でした。目標には届いていないものの、中高生の英語力は上昇し、英語教育は改善されていると評価されています。

 一方で、都道府県や指定都市の間の差が目立ちます。
 例えば、中学生で目標達成の割合が最も高い福井県は86.4%に達しています。目標の50%を超えたのは11都府県です。逆に30%台が10県ありました。
 高校生では福井県や富山県が60%を超えていますが、3県が30%台でした。

 文科省は、生徒の英語力向上には「英語による言語活動」と「英語教師の英語力や発語」、そして「ICT(情報通信技術)の活用」が影響していると分析しています。
 生徒が英語で話したり書いたりする機会があること、教師が授業を英語で行っている(学習指導要領では、授業は英語で行うことを基本とすることになっています)など、使う機会があることが大きいというわけです。
 また、ALT(外国語指導助手)が英語の授業以外でも生徒と交流する機会があることも影響している可能性があると述べています。

 ちなみに、最近の英語教育では、小学校での教科化や中学入試への導入などが話題になっています。
 その一方、教師の負担が大きくなり、指導法を学んでいない教師の指導によって結果として英語嫌いが増えるのではないかと心配する専門家もいます。
 ICTを活用する力も教師によって差があるといわれています。担当する教師への支援が重要視されそうです。