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青少年事情と教育を考える 231
G7保健相会合で「包括的性教育」

ナビゲーター:中田 孝誠

 前回に続いて、先進7カ国(G7)の会合から取り上げたいと思います。
 5月13日と14日に長崎市で開催されたG7保健相会合です。

 会合で発表された宣言文では、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの経験を生かして多国間協力を強化し、世界的な公衆衛生危機への取り組みを進めることなどがうたわれました。

 メンタルヘルスへの対応や各国の共通課題ともいえる高齢化への対応も含まれています。

 また、「母子保健と包括的なSRHR(性と生殖に関する健康と権利)」という項目では、次のように述べられています。少し長いですが引用します。

 「我々は、母子保健を含むライフコースの各段階における包括的な性と生殖に関する保健サービスへの普遍的なアクセスを、特に脆弱で、疎外された人々を含め、すべての人のために確保することにコミットする。これは、権利に基づく家族計画とエビデンスに基づいた避妊法、妊産婦・新生児・子どもの健康(MNCH)、月経に関する健康と衛生、HIVと性感染症の予防、多様な観点から包括して行う性教育、メンタルヘルス、安全で合法的な中絶と中絶後のケアへのアクセス、…性・ジェンダーにもとづくスティグマ・差別・暴力に関する有害行為の防止と撲滅といった、すべての人のための包括的なSRHRを推進する幅広いアプローチを包含するものである」(厚生労働省の抄訳より引用)。

 この中に「多様な観点から包括して行う性教育」という一文があることから、「日本も包括的性教育の推進に取り組むことを宣言」したと述べるメディアもありました(東京新聞6月6日付)。

 包括的性教育は、ユネスコ(国連教育科学文化機関)が発表した「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」によるもので、科学的な知識、人権、多様性、ジェンダー平等といった点が特徴とされています。ただ、包括的性教育に対しては、学習指導要領の規定に逸脱するといった声もあります。

 一方、文部科学省は子供たちの性被害が増えていることを踏まえ、「生命の安全教育」を始めています。
 これらの点について、次回、もう少し整理してみたいと思います。