青少年事情と教育を考える 21
18歳成人で変わること

ナビゲーター:中田 孝誠

 大人の年齢が「18歳」になります。6月に改正民法が成立し、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられることになりました。202241日から施行されます。成人年齢の変更は約140年ぶりで、引き下げによって若い世代の社会参加を促進する、ともいわれています。
 なお、海外で成人年齢を18歳にしている国は、イギリス、イタリア、ドイツ、フランス、スイス、オーストラリアなどで、18歳は主流ではあります。

 では、この改正で何が変わるのでしょうか。
 選挙権はすでに18歳からあります。今回変わったのは、一つは結婚年齢です。これまで男性は18歳、女性は16歳から結婚できましたが、今回の改正で男女とも18歳からになります。また、10年間有効のパスポートを18歳から取得できるようになります。
 また、医師や公認会計士になることも可能ではあります。ただ、大学で専門の科目を学び、国家試験に合格しなければなりませんから、実際には難しいでしょう。

 一方、変わらないのは飲酒や喫煙で、別の法律で満20歳以上と定められています。競馬などの公営ギャンブルも20歳以上で変わりません。
 最も心配されているのは、さまざまな契約による消費者トラブルです。現在は20歳未満で契約しても、親が同意していなければ取り消しができます。しかし今後は親の同意なくクレジットカードを作ったり、携帯電話の契約やローン契約ができるようになるため、悪徳業者の被害が増えるのではないかということです。そうした被害を防ぐために学校での消費者教育が重要になってきます。消費者庁も高校生向けの契約の知識を学べる教材を作成し、20年度までの3年間に若い世代への消費者教育を強化するということです。

 もう一つ、少年法の適用年齢を20歳から18歳に引き下げるかどうかの検討も、今後議論が続きそうです。
 世論調査では、18歳成人に反対する意見が目立ちます。引き下げは問題の方が多いという意見も根強くあります。

 いずれにしても、今の大人の側が子育ての責任をしっかりと果たして、子供の成長を支えていくべきだと、改めて考えさせられます。