43とも倶楽部誕生物語 15
43ともの一番大事なポイントは「受容」と「賛美」

櫻井 晴信

 今話題のユニークな読書会、「43とも倶楽部」。本シリーズでは、「43とも倶楽部」がどのようにしてつくられてきたのか、その誕生の物語をお届けします。

 オリンピックで金メダルを取った人が、銀や銅の人の健闘をたたえるのは簡単ですが、銀メダルの人が金の人を祝福するのは、よほど自己肯定感が高くないとできません。
 その人の人間性が現れます。このようなことは、誰でも思い当たる節があると思います。

 それでは、自己肯定感を高めるにはどうしたら良いのでしょうか。
 それは人から褒めてもらうことです。
 「43とも」の一番大事なポイントは、「受容」と「賛美」です。上手に感想文を書けなかったとしても全部を受け入れてもらい、良いところを見つけて褒めてもらえます。

 すると「こんな私でも受け入れてもらえた」「今のままでもよいのだ」という安心感が生まれ、「私はここに居てもよい」という居場所ができるのです。
 このような経験を何度も体験することによって、硬かった心が柔らかくなり、冷たかった心が温かくなり、重かった心が軽くなってきて、心が動きやすくなるのです

 また、日頃から人を褒めてない人は、「褒め言葉」を知りません。
 人が褒めているところを見て「こういう褒め方もあるのか」と気付きます。
 「褒め言葉」を言われ、「うれしかった」という経験を通して、「褒め言葉」は自然と増えていくのです。

 このように、感想文を発表して、それを聞いた残りの人が一人ずつ褒める。全員褒め終わったら、次の人が感想文を発表して、それを聞いた残りの人が一人ずつ褒める。
 これをひととおり行う時間を意見交換の時間と言います。
 4人でやるとだいたい20分で終わります。ここがきちんとできると全員が満足することができ、次のフリートークに入っていけます。

 そのために必ず守ってもらいたいルールが三つあります。次回はそのことについてお伝えします。(続く)