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【テキスト版】
ほぼ5分でわかる介護・福祉QA

31回 障がい者福祉編⑬
発達障害の息子を一般的な学童保育に預けるのが心配なのですが…

ナビゲーター:宮本 知洋(家庭連合福祉部長)

(動画版『ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A』より)

 医学用語・法律用語としては「障害」とし、一般的な用語としては「障がい」と表記しています。

 今回は、「発達障害の小学3年生の息子を持つ母親です。パートで働こうと思っているのですが、一般的な学童保育に預けるのは心配です」という質問にお答えします。

 障がいのある児童が放課後や休日、夏休みなどの長期休暇に利用することができる福祉サービスとして「放課後等デイサービス」があります。
 一般的な学童保育(放課後児童クラブ)に預けるのが心配であれば、このサービスの利用を考えてみられてもよいかと思います。

 放課後等デイサービスは、障がいのある小学生・中学生・高校生が利用できる通所支援サービスです。

 従来は、未就学児も就学児も共に通うことができるサービスでしたが、2012年に児童福祉法が改正され、未就学児のための「児童発達支援」、就学児のための「放課後等デイサービス」に分けられました。

 原則としては18歳までの子どもが対象となりますが、例外的に最大20歳まで利用を継続できる場合もあります。

 医師などからサービスの必要性が認められれば、療育手帳などを取得しなくても利用することができます。

 厚生労働省は、放課後等デイサービスの基本的役割として三つの内容を挙げています。

 第1は「子どもの最善の利益の保障」です。

 放課後等デイサービスは支援を必要とする障がいのある子どもに対して、学校や家庭とは異なる環境や体験などを通じて、一人一人の状況に応じた発達支援を行い、子どもの最善の利益の保障と健全な育成を図っています。

 第2は「共生社会の実現に向けた後方支援」です。

 放課後等デイサービスを提供するに当たっては、子どもが地域社会に参加できるよう、他の子どもも含めた集団の中での生活を保障する視点が必要になります。

 また、放課後児童クラブや児童館などの一般的な子育て支援施策を「後方支援」として位置付け、必要に応じて連携を図ることが期待されています。

 放課後等デイサービスの三番目の役割は「保護者支援」です。

 具体的には、子育ての悩みなどに関する相談を受けたり、ペアレント・トレーニング(生活の中での困り感を軽減するためのプログラム。グループで行われることが多い)などを活用して子どもの育ちを支える力をつけられるよう支援したり、保護者の時間を保障するためにケアを一時的に代行したりして、保護者の支援を図ります。

 これらの支援により、保護者が子どもに向き合うゆとりや自信を回復すれば、子どもの発達にも好ましい影響を及ぼすものと期待されます。

 放課後等デイサービスでは、自立支援や日常活動の充実を図るための活動、地域との交流活動、創作活動、余暇の提供などが行われています。
 そのための具体的なプログラムとして、運動プログラムや音楽プログラム、パソコンなどを用いたプログラム、ソーシャルスキルプログラム、学習支援プログラムなどが実施されています。

 ただし、それらのプログラムが全て網羅されているわけではなく、施設によって実施されているプログラムが違います。施設の形態もさまざまなので、お子さんの興味や通所目的に応じて、施設を選んで利用するのがよいでしょう。

 放課後等デイサービスの利用料金は、家庭の所得によって違います。自治体が発行する受給者証を取得することで、利用料の9割が給付されるので、1割の自己負担でサービスを利用することができます。

 受給者証を申請する際は審査があり、子どもや保護者の状況や家庭環境などに基づいて、ひと月に利用できる回数の上限が決められます。また所得に応じて最高負担月額が設定されており、それを超えて支払う必要はありません。

 放課後等デイサービスの利用を考えているかたは、まずお住まいの地域の福祉担当窓口や障害児相談支援事業所などに相談してみてください。

 利用したい施設に空きがあれば、事前に見学や体験をしてみられたらよいと思います。

 それでは、今回の講座はこれで終了いたします。