歴史と世界の中の日本人
第24回 世界を救う縄文日本の文化力

(YFWP『NEW YOUTH』180号[2015年6月号]より)

 歴史の中で世界を舞台に輝きを放って生きた日本人が数多くいます。知られざる彼らの足跡を学ぶと、日本人の底力が見えてくる!
 「歴史と世界の中の日本人」を毎週火曜日配信(予定)でお届けします。

 「縄文人」といえば、どのようなイメージを持つだろうか。未開な人々、原始的な人々、といったイメージだろうか。

 縄文時代は1万年以上続いた時代である。今から約16500年前から約3000年前の日本列島を区分した時代だ。

▲三内丸山遺跡(ウィキペディアより)

 旧石器時代と縄文時代の違いは、土器の出現や竪穴住居の普及、貝塚の存在などが挙げられる。

 近年、発掘と研究が進展し、「縄文時代」の真の姿が明らかになってきている。
 縄文時代の女性は色鮮やかなイヤリングをし、素敵な腕輪をし、ファッショナブルな麻の衣装をまとっていたといわれている。

 縄文時代の特徴の一つは、「戦争がほとんど行われなかった」ことだ。
 1万年続いたこの時代に強大な政治権力は現れず、殺人のための武器も作られなかった。

 そして何よりこの時代の遺産はものづくりの技術である。

 縄文といえば「縄文土器」、というくらい、12000年以上前には、すでに当時の世界に類を見ない薄さ5ミリの土器を作ることのできるハイテク技術が存在していたのである。
 「日本のものづくりの原点は縄文にあり」と言っても過言ではない。

 縄文人たちは世界に先駆けて定住生活を始め、家族をつくり、人と自然が見事に調和する生活を実現していた。
 縄文人は、人々が互いに支え合い、自然と共生する社会をつくり上げていたのだ。
 まさに、日本の「和」の原点ここにありと言ってよい。

 環状に形成された墓地や村づくりなど、文化的にも循環、円形などの発想を持っていたことが見て取れる。
 縄文の「円の発想」は、和の思想の源流ということができよう。

 2011311日に起きた東日本大震災は甚大な被害をもたらし、多くの悲しみを生んでしまったが、同時に世界の人々に驚嘆と共感の渦を巻き起こした。

 困難な中でも、協調性を発揮し、社会秩序を守る姿。冷静な対応と忍耐心、そして卓越した互助の精神…を見せた日本人。
 それは日本人自身にとっても再発見であった。
 縄文の文化的DNAは、今なお日本人の底力として存在し続けていたのである。

 地球が一つの家族として共生する時代、この素晴らしい文化力は日本のみならず世界を救い得る賜物である。

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 次回は、「神として祀(まつ)られた日本人」をお届けします。