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愛の知恵袋 166
ママのママに会えた孫

(APTF『真の家庭』287号[20229月]より)

松本 雄司(家庭問題トータルカウンセラー)

孫と暮らす生活

 私は今、娘と、孫たちと一緒に暮らしている。孫は7歳と4歳だが男の子なので元気いっぱい。そのエネルギーは大変なものだ。

 上の子(マーくん)は小学2年生になり、言って聞かせればわかるようになってきた。下の子(ミーくん)はやっと片言のおしゃべりができるようになったばかり。さいわい兄弟二人はすこぶる仲が良く、一日中でも二人でよく遊ぶ。

 お絵描きや折り紙をしたり、ブロックや積み木で恐竜をつくったりしているが、母親の携帯を借りて幼児向けのユーチューブを見るのも大好きだ。

 しかし、やはり男の子だからじっとしてはいない。家の中でも戦隊ごっこや追いかけっこをする。また、家中を探索してかくれんぼをする。押入れのふすまは破れ、段ボール箱はことごとく踏みつぶされ、衣類がもみくちゃになり…被害は甚大だ。

 学校が休みの日は、朝になると上の子が私の寝室に入ってきて、「おじいさま~、朝で~す」と言って起こしに来る。狙いは録画してあるテレビの子供番組を見たいので早く起きろ…ということなのだが。

じいちゃんとのお気に入りの遊び

 私が居間にいると、ミーくんがやってきて両手を挙げて「ヒコーキ」とせがむ。抱き上げて体を横にしてスーパーマンが空を飛ぶようにブウン、ブウンと動かす。

 また、私が低い丸椅子に座っていると、膝によじ登り「お馬ごっこ」をせがむ。片足のふとももの上に外向きにまたがる。私が「ハイヨ、パカパッ、パカパッ」と言いながら貧乏ゆすりのように膝を上下に動かすと、彼は振り落とされまいと、私の膝がしらにしっかりしがみつく。すると必ず兄のマーくんが「僕も」と言ってもう一つの足にまたがる。二人そろってロデオレースだ。

 最近、特にお気に入りなのが「ジェットコースターごっこ」だ。今はコロナの関係もあって私も在宅の仕事が多い。私が仕事部屋にいると、二人がアームチェアによじ登ってきて、「アレ、アレ」とせがむ。

 一人は膝の上に乗りシートベルト代わりに私の両手で孫のお腹を抱える。もう一人は後ろに回って私の背中にしがみつく。

 「さあ出発!」「カタ、カタ、カタ」と言いながら一番上まで上り、そこから「ゴオーッ」と右に左に大揺れしながら下っていく。スリル満点、二人は大喜びである。

我が家で起きた不思議なこと

 最近、とても不思議なことがあった。彼らの祖母(私の妻)が他界したのは2013年。娘に長男が生まれたのは2015年、その弟が生まれたのが2018年。だから、孫たちは「おばあちゃん」の顔を知らない。

 ところが先日、娘が来て言うには、「お父さん、不思議なことがあるの」「どうしたの?」と聞くと、「ミーくんがね、お母さんに会ったことがあると言うの」「ほう、どういうこと?」と詳しく聞いてみた。

 ある日娘が「ミーくんは誰が好き?」と聞いた。「ママが好き」と言う。「お兄ちゃんは?」と聞くと「好き」。「おじいちゃんは?」と聞くと「好き」と言う。そして、「ママのママも好き」と言ったのである。「えっ、ミーくんはママのママには会ったことがないでしょ?」と聞くと、「会ったことあるよ」と言うのだ。

 「ああ、写真で見たのね」と言うと、「違うよ、会ったことある」と言うのである。よく聞いてみると、ミーくんは、時々「ママのママ」が見えるらしく、「お話もできる」という。娘が私の妻の写真を見せて「この人?」と聞くと「うん」と言う。「どんなお顔をしていた?」と聞くと、「いつもニコニコしてる。いちばんやさしいよ!」と言うのである。

ママのママに会えたミーくん

 そうだったのか…。私の妻は霊界から折あるごとに地上のわが家に来て、愛しい孫を見守ってくれていたんだ…。そう思うととても嬉しくなり胸が熱くなった。

 妻は42歳の時、乳がんを発症。その後22年間闘病しながら家族とともに暮らし、仕事やボランティア活動を熱心にして64歳で他界した。その時、私は66歳、娘は32歳、今東京にいる息子は24歳だった。

 発病時、まだ2歳だった息子を育てあげ、大学を卒業させるまで頑張ってくれて、それを見届けるかのように天国へ旅立った。だから、私の妻には心の底から感謝している。そんな妻に対して、私は一つの心残りがあった。

 娘に長男が生まれて里帰りしてくれた時、私は初めて孫を抱いた。本当にかわいいと思った。その時、胸に込み上げてきたのが妻の思いだった。「妻はどんなに孫を抱いてみたかっただろうか…」。

 だから、一度でも孫を抱かせてあげたかった…という心残りがあったのだ。

 その夜、私は妻の写真に向かってそっと語りかけた。「マーくんたちを守ってくれてありがとう。ミーくんとお話もできて本当に良かったね…」。

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