2022.09.05 22:00
スマホで立ち読み Vol.9
『地域づくりは国づくり』2
入山聖基・著
『地域づくりは国づくり』の一部を「立ち読み」でご覧いただけます! 毎週月曜日にお届けします。
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第一章 カインの祭物
復帰の心情
「復帰摂理とは、堕落した人間に創造目的を完成せしめるために、彼らを創造本然の人間に復帰していく神の摂理をいう」(『原理講論』「緒論」271ページ)
これは、『原理講論』の後編、「緒論」の最初の一文ですが、この一文の中に、これから復帰摂理を始めようとされる、「神様のこころ」、魂が込められていることを感じます。
人間は、神様の愛の結晶としてこの地上に現れました。ところが、人間は堕落し、神様を裏切ってしまったのです。
それは、神様の真(まこと)の愛に対する裏切りでした。自分を真心から愛してくれた方を裏切り、その心を踏みにじったのです。それが罪の本質です。堕落人間は、この、「愛の負い目」を今日まで背負い続けてきたのです。
神様の息子、娘として、天使もうらやむような光り輝く存在だった人間は、堕落によってサタンの息子、娘の姿を見せるようになりました。どれほど醜く、絶望的な姿でしょう。
理想高き、真の父母なる神様からすれば、見たくもない子供たちの姿でしょう。「そんな現実は見たくない」、と切り捨てたくもなる気持ちは、私たちが同じ親の立場で考えても理解できることでしょう。
しかし、私たちが知った神様は、そのような人間に対して、どのような態度を取られたのでしょうか?
「堕落した人間に創造目的を完成させる」。これが、神様の決意です。しかし、それは極めて困難なことでした。少なくとも、二つの理由で困難なことです。
第一に、時間の問題です。
過ぎ去った時間は元に戻せません。堕落する前の時間に戻すことはできません。
第二に、血統の問題です。
一度生まれた血統は子々孫々、続いていきます。それゆえに命懸けで血統を守らないといけないと戒められたのです。一度堕落による偽りの血統が成立したなら消し去ることは難しいのです。原理的に見て、極めて困難なことなのです。
しかし、神様は、その困難な状況から、それを実現すると決意されたのです。それを実現する一つの方法がありました。それは、原理の力よりも強い力を使うことです。
それは、愛の力です。真の愛の力だけが原理の力を超越するのです。神様は、真の愛で、堕落した我が子である人間を、堕落する前の創造本然の姿に戻すことを決意されたのでした。神様の摂理は最初から、ある意味で「不可能を可能にする」という道だったのです。
しかし、現実には、その道は困難を極めました。
真の父母様がこの地上に現れ、勝利されるまでの六千年間、復帰の摂理は失敗の連続でした。すべては人間の責任分担が果たされなかったゆえの失敗でした。それでも、神様は最初の決意を貫かれました。
「我が子を救う」という最初の決意が、六千年の苦難という岩盤をも貫く強さをもっていたのです。それが、神様の人間に対する意志であり、変わらないこころ、すなわち愛なのです。
そのような神様の復帰の心情が、最初にありました。それが今日の私たちに、救いの奇跡をもたらしたのです。
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次回は、「善悪の母体」をお届けします。お楽しみに!