コラム・週刊Blessed Life 19
飯舘村、未来への挑戦

新海 一朗(コラムニスト)

 522日に福島県の飯舘村を訪ね、村長さんに面会をする機会を得ました。飯舘村は美しい自然に恵まれ、平和な山間部に広がる農村地帯です。しかし、2011311日に巨大地震が発生。巨大津波が起こり、それが福島第一原発事故につながり、放射能物質による災害が福島県浜通り一帯(太平洋海岸線地帯)を襲いました。飯舘村は事故当時の風向きなどの影響で最も放射能物質に汚染された場所となり、住民全員の避難が指示される区域になりました。

 全面的に帰村が許されたのは、他の地域に比べても非常に遅く、この春からのことです。今、飯舘村は以前の平和な村を取り戻そうと、菅野典雄村長を中心に一丸となって頑張っているところです。
 事故当時から7年間の留守状態になって荒廃した村に帰村を果たした人々は、まだ1000人足らずだそうですが、以前のように5000人、6000人の住民が住む平和な村にしたいと、人々を呼び込むことに努めています。
 子供を抱えた若夫婦の帰村は、放射能のことなどが心配でなかなかかなわないという傾向はありますが、60代、70代の年配になると、やはり長年暮らしてきた故郷が忘れがたく、戻って来られているそうです。

 菅野村長の言葉です。
 「生きているということは誰かに借りをつくること。生きてゆくということはその借りを返してゆくこと。つまずいたり転んだりしたおかげで、物事を深く考えられるように。過ちや失敗を繰り返したことで、人のやることを温かい目で見られるように。身近な人の死によって、人の命のはかなさと、今ここに生きていることの尊さを、骨身にしみて味わいました」。
 放射能災害から立ち直ろうとする村長ならびに飯舘村の人々の復興努力、そして未来への挑戦に、心からエールを送りたいと思います。