コラム・週刊Blessed Life 226
混迷する世界、日本の針路はいかに!

新海 一朗

 現在の国際情勢は、米欧日の民主主義陣営と中露北の共産主義的な全体主義陣営が、双方ともに政治の機能まひおよび制度疲労といったものを起こしています。
 それは、各国の政治指導者たちの指導力の限界が露呈しているという意味でもあります。つまり、世界政治が有効に機能せず、相互不信の中で、迷路に迷い込んでいるということです。

 その最たる姿が、良くも悪くも世界情勢の大局的かつ決定的な鍵をいつも握ってきた米国の指導力の失墜です。
 内外の政策に対するジョー・バイデン米大統領のむなしい発言と責任を取るのか取らないのか分からない不誠実な姿勢に、世界は大いなる不信感を抱いています。

 バイデン大統領の支持率は、64日現在で39%となっており、不支持率は58%の過去最高となりました(「モーニング・コンサルト」米国調査会社より)。
 そして、米国の大学が行った直近の世論調査(720日現在)では、支持率はさらに下がり、31%になっています。

 就任当初は、幾分かの違いはあるものの、世論調査各社での支持率は5560%の間でした。それが、31%まで落ち込んでいるのですから、バイデン政権の不人気は明らかです。
 この米国内の状況がそのまま、世界の外交舞台にも反映されている格好であり、バイデンの存在感は薄く、各国首脳にあまり信頼されていないのは明らかです。

 実はこの米国政治の凋落(ちょうらく)および国内の治安の悪化が、世界に対する指導力を喪失している最大の原因であり、世界は模範にならない米国を見限っているといえます。

 その結果、ロシアと中国が深く結び付き、そこに、インド、ブラジル、南アフリカが寄り添って支える形になっています。
 いわゆる、BRICs5カ国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国)が経済成長の著しい国として、互いに連結し、経済成長の弱くなった米欧日を追い抜こうとする野心に燃えているわけです。

 ウクライナ戦争は、ウクライナの掌握を巡って、大方、「ロシア:BRICs+イラン」vs.「ウクライナ:米欧日」の図式で動いていることは確かです。

 米欧日のサイドはロシアへの経済制裁、ウクライナへの武器供与で動き、ロシア・中国サイドはロシアの石油、天然ガス、石炭などのエネルギー資源を積極的に買い支える経済支援体制で対抗する動きを見せています。

 背後でロシアを支えるグループと、ウクライナを支えるグループがあるということの意味は、どちらが先に「支援疲れ」を起こし、悲鳴を上げるかということです。
 ウクライナ侵攻から5カ月が経過しました。8月には半年目に入るという情勢は、双方共に「疲れ」が確実に出始めているが故に、停戦交渉を始めなければならない時期に入ってきていると見てよいでしょう。

 戦争は始めるのは簡単かもしれないが、出口を探る(出口戦略)のは非常に難しいといわれています。
 戦争の始め方ではなく戦争の終わらせ方が難しいという中で、両者引き分けのような停戦が実現するのでしょうか。それとも、あくまで、ロシアは「勝った」ことにしなければ気が済まないのでしょうか。

 プーチンのプライドはどこにあるのか分かりませんが、ロシアのプーチンの判断もまたこれ以上戦争を継続させることはできないというのが本音のように感じられます。

 9月27日、安倍晋三元首相の国葬をもって、日本は新たな政治のステージを国際社会に披露しなければなりません。
 各国首脳が多数弔問する中で、安倍晋三なき後、日本の政治はどこへいくのか、とりわけ、中露の軍事的な合同協力体制が進む中で、日本の安全保障体制の盤石な構築が急がれることはあまりにも明白です。