青少年事情と教育を考える 202
道徳教科化から4年、「学んだことを生活に生かそうとする子が増えた」

ナビゲーター:中田 孝誠

 道徳教育が教科化され、「特別の教科 道徳」が始まってから小学校で4年、中学校で3年が経過しました(小学校が2018年度、中学校が2019年度から開始)。

 では、これまでにどのような成果があったのでしょうか。
 文部科学省が全国の小中学校と各自治体の教育委員会を調査しています(昨年10月〜12月、全国から無作為抽出された小学校1197校と中学校1144校)。

 それを見ると、教科化されたことで「道徳教育に対する教師の意識が高まった」(97.0%)、「授業時間数を十分に確保して指導できるようになった」(92.5%)、「学校として育てようとする児童生徒像をより意識して指導するようになった」(90.8%)といった回答が多くありました。

 また、「道徳で学んだことを生活に生かそうとする児童生徒が増えた」「学校全体で連携した実践が増えた」といった具体的な成果の内容を挙げる学校もありました。

 以前は他の学校行事などに差し替えられたり、他教科より軽く扱われたりする風潮さえあった道徳ですが、今はそうしたこともなくなってきました。むしろ学校全体が協力して道徳教育を進める体制を整えたり、道徳教育に関わる体験活動(ボランティア活動や自然体験など)を充実させたりする学校も増えてきているようです。

 一方、「道徳教育の取組を積極的に情報発信した」(33.1%)、「家庭や地域社会との連携を強化した」(27.1%)といった取り組みはまだ少数でした。

 道徳教育は、学校で学んだことを生活の中で実践に結び付けることが重要です。その意味では、学校と家庭、そして地域社会が連携するための一番のテーマが道徳教育だと言っていいでしょう。

 「道徳で学んだことを生活に生かそうとする児童生徒が増えた」という学校があるように、子供たちが道徳の学びを生活に生かせる社会をつくることが、大人の責任でもあります。