愛の知恵袋 162
旦那様はありがたい存在

(APTF『真の家庭』283号[2022年5月]より)

松本 雄司(家庭問題トータルカウンセラー)

男はなぜ休日をゴロ寝で過ごすのか?

 婦人たちとの懇談会で、「理解できない夫の態度」としてある婦人が言いました。

 「うちの旦那は日曜だけが休みなので、家族みんなで一緒に出かけようと誘うんですが、彼は『いや、ちょっと用があるから…』とか言って、結局は家でゴロゴロしているんですよ。だったら来ればいいのにと思うんですけど…」

 すると、他にも数人の婦人が「そうよね!」「うちもそう!」と同調します。

 心療内科医の姫野友美博士によれば、「日本人の余暇の過ごし方」アンケート調査では、「テレビを見る」「ごろ寝」「散歩」の三つが上位で、半数を占めているそうです。

 休日は昼頃起きてきて、パジャマのまま居間でゴロゴロ…そんなパパも多いのです。

 共働きの夫婦の場合、妻としては「休日ぐらい子供の面倒を見てほしい」という要望もあるし、子供達にとっても家族交流のチャンスです。

 夫も若いうちは疲れていても同行して家族サービスに努めます。しかし、ある程度の年齢になると、「一緒にどこかへ遊びに行こうよ!」と誘っても、「私はいいよ」と言って動こうとしなくなります。一見、ぐうたら亭主にも見えますが、どうしてそうなるのでしょうか?

お金は稼いでも、使うことには関与しない男たち

 男は家ではのんびりしていても、職場では全く別の顔になります。職場の男は戦闘モード。全神経を集中させ、目標達成のために仕事に打ち込んでいる“戦士”です。

 「あなた・稼ぐ人。私・使う人」という言葉が流行したことがありましたが、個人差はあれ、基本的に男性はお金を稼ぐことに長けています。

 もっと言うと、男性はお金を稼ぐことには真剣ですが、「稼いだお金をどう使うか」ということに対しては漠然としか考えていないことが多いのです。

 心理的に見ると、男性の闘争本能ともいうべきもので、狩りを成功させること”に全力を注ぎ、そこにスリルとやり甲斐を感じます。しかし、獲物をとって男の使命を果たすと、あとは疲れて、獲物の調理は女達に任せるといった具合です。

 つまり、男は仕事のために知恵を絞り、腕を競い合いますが、目標を達成して評価され、お金を受けとることで満足している…という傾向があります。

お金を使うことに長けている女性たち

 一方、女性はお金を使うほうの名人です。買い物への関心度は男性の比ではありません。「1円でも安く」という節約意識と買い物情報の収集能力は驚くばかりです。

 特別な掘り出し物を安く手に入れると、「やった~!」とたまらない快感を感じます。それから数日間は、友人たちにその武勇伝をシェアすることで幸せな気分になれるのです。

 男は何かが必要になると近くの店に行って、さっさと買ってしまいます。家に帰って奥さんに叱られたりすることもあります。

 女性の場合は何かを買おうとすると、簡単な物でもチラシや広告を調べて買います。高価な物なら、まず友人たちから情報を聞き、数軒の店を回って価格を調べ、更にネットで調べて比較して、最も良い品を一番安い方法で購入します。

 よく見かけるのは、買い物に来た店内で、なかなか決めない妻と、「早くしろ」と急(せ)き立てる夫が喧嘩をしている光景です。これも男性脳と女性脳の違いでしょう。

男は旦那様”、妻子は気にせず出かけよう

 ところで、夫や主人のことを旦那様”と呼ぶことがあります。「ダンナ」というのはサンスクリット語(梵語)の「ダーナ」から来た言葉で「無償の行為」「布施」の意味です。英語では「ドネイト(寄付する)」になり、日本語では「ダンナ」になったと言われています。

 つまり、「ダンナ」とは無償で与えてくれる人です。日本のダンナは、家族のために身を粉にして働き、稼いだお金は女房に渡し、家族が喜んでくれればそれで満足し、自分は疲れてゴロ寝をしている…なんとも奇特な有難い存在なのです。

 ですから休日には、できればお父さんも一緒に家族全員で出かけて良き思い出作りをしてください。しかし、お父さんが疲れていてどこにも行きたくないという時は、無理に誘わなくてもいいのです。

 遠慮はいりません。母と子供達で好きな所に行って存分に楽しんで来ればよいのです。お父さんへの感謝のしるしに、お土産でも買って帰ればきっと喜ぶでしょう。

 最近は共働きの多い時代なので、お母さんもお疲れ気味ですから、お互いに労をねぎらい、感謝の気持ちを伝え合うことが一番の慰労になることでしょう。

(参考文献:「なぜ男と女は4年で嫌になるのか」姫野友美著・幻冬舎)

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