2022.04.22 17:00
トムヤムクンを召し上がれ
バンコク生活記⑦
母の日のイベント「輝いているお母さん賞」を私に!?
2013年から2014年まで『トゥデイズ・ワールド ジャパン』に掲載された懐かしのエッセー「トムヤムクンを召し上がれ バンコク生活記⑦」の一部を、特別にBlessed Lifeでお届けします!
筆者のアルンローッゴーソン真理子さんは、6500双のタイ日家庭です。
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12月5日は、タイのプミポン国王陛下の誕生日で、タイでは「父の日」です。そして8月12日はシリキット王妃の誕生日なので「母の日」です。
両日が近づくと街中に国王、王妃それぞれの大きな写真と肖像画がドーンと飾られるので、ボーッとしている私でも、もうすぐ「父の日」「母の日」だと分かります。
タイでは、誕生した日が何曜日かによって自分の色が決まっています。国王は月曜日に誕生したので黄色、王妃は金曜日に誕生したので青色です。そのため式典で召される洋服の色は自分の色になります。国民は敬意を表す意味で同色の服を着て式典に参列します。
祝日となるこの日は、全てのTV局が式典のようすを放映するため、大好きな韓国ドラマもこの日ばかりはおあずけです。
また、一般家庭においては親に感謝を伝える日とされています。レストランは親子連れでいっぱいになり、贈り物を手渡す光景などを目にすると、タイもまだまだ捨てたもんじゃないと思います。
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毎年、学校でも「母の日」の行事があるので、私は仕事を休んででも参加するようにしています。
というか授業参観日がないに等しいため、この日を利用して、学校のようすを見たり、先生に子供のようすを伺ったり、子供の友人関係を確認したりと、貴重な日にしています。
今年の「母の日」はひと味違いました。まず、全員起立で王妃の写真に向かって王妃を称える歌を歌い、敬礼を捧げます。次に、子供たちが「お母さんの歌」を大合唱。
その後、子供が母親の前にひざまずき合掌(ワイ)し、ジャスミンの花環や造花をカードと一緒に渡して母子が抱き合います。中には抱き合ったまま、お互いが泣いてなかなか離れない親子もいたりして、初めてその光景を目にしたときは、ついていけないと思いました。
しかし毎年、参加しているうちに歌詞の意味が分かるようになり、決して上手とは言えない子供たちの歌声を聴きながら、泣いているお母さんと共鳴し、私まで目頭が熱くなるようになりました。
もう一つ、このイベントでは「輝いているお母さん賞」の表彰式があります。今年、校長先生が代わったことで選出方法が変わり、クラスごとに子供たちが誰かのお母さんを推薦することになりました。その後、先生がたが審査して数人のお母さんを表彰します。
毎年、他人事と思っていたこのイベントですが、今年はなんと娘のクラスから私が推薦されたのです。
しかし、これまで表彰された母親は、①子供が真面目に勉強している ②控えめでおしとやかな母親 ③毎日学校まで子供を迎えに行く母親などと、私が勝手に理解しているので、①以外はどう考えても無理なのです。
ふだんの私は、何か腑に落ちないことがあれば(モンスターペアレントではありませんが)先生に問い合わせるため、学校では煙たい存在のはずです。
さらに、タイの母の日に外国人を表彰するのは、タイの文化ではありえないこと。そんな否定的な思いと、推薦された喜びが交差し、複雑な心境を通過しましたが、結果は予選落ちでした。
それでも一瞬、幸せな気分を味わわせてくれた娘のクラスの子供たちに感謝しています。
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(この記事は、『トゥデイズ・ワールド ジャパン』2013年12月号に掲載されたものです)