青少年事情と教育を考える 13
子供を見守る防犯ボランティア活動

ナビゲーター:中田 孝誠

 新潟県で小学生の女の子が、下校途中、近所に住む男に殺害されるという痛ましい事件が起きました。逮捕された23歳の男の殺害の動機など詳しいことは、この原稿を書いている15日夜の段階では分かってません。
 一方、女の子が下校途中に被害に遭ったことから、地域で子供を見守る体制が必要といった意見も出ています。

 よく、地域の高齢者が子供たちの登下校時に通学路に立って見守る活動をされています。毎日子供たちに声を掛けてくださる姿は、親にも安心感を与えます。
 地域でこうした活動を行っているのが防犯ボランティア団体です。昨年12月現在で全国に47444団体あり、2626016人が活動しています(警察庁「防犯ボランティア団体の活動状況」)。

写真はイメージです

 このうち、実際に子供たちの通学路での保護・誘導や地域の防犯パトロールを行っている団体が約8割。その他、危険箇所の点検や広報、環境浄化などの活動もあります。
 活動に参加する人の平均年齢が60歳代という団体が半数を占めていますが、活動時間の関係で現役世代が参加しにくいため、やむを得ないところです。「サイバー防犯ボランティア」をはじめ、大学生などの若い世代が参加できる環境をつくろうとする取り組みもあります。

 いずれにしても、防犯には地域の目が不可欠です。犯罪学の専門家は、地域の目が行き届く社会、犯罪者にとって都合の悪い環境をつくることが大切だと語っています。
 「個の尊重」と言うと聞こえはいいのですが、それが行き過ぎて家族や地域のつながりさえ否定的に捉えようとする風潮が一部にはあります。しかし、ほとんどの人は、家族や地域を大切にしたいと感じているのではないでしょうか。

 子供を保護する環境をつくるためにも、家族、地域のつながりを大切にするという声を大きくしていきたいものです。