2022.02.07 17:00
コラム・週刊Blessed Life 203
北朝鮮のミサイル実験に思うこと
新海 一朗
北朝鮮が今年に入って1月だけで7回ものミサイル実験をやったことに、世界は戸惑い、驚いています。
北朝鮮の現実を見れば、経済的には最悪と言ってよい状態です。
コロナ禍の中、鴨緑江の国境を閉ざし、中国からの物資も入らない状況をつくり出した北朝鮮です。どれほど生活物資のない国内状態であるか想像もつきません。近く新義州を再開することになっているようですが、中国にすがりつくしかなくなっているのです。
米国や国連が追い込めば追い込むほど、中国やロシアになびいていかざるを得ない北朝鮮です。
核ミサイルの開発をやめない北朝鮮に対して、米国および国連は経済制裁を実施しています。ですから北朝鮮の経済が慢性的に悪いということは理解できますが、中国からの物資も入らない状況が生まれたわけで、平壌の都市部に暮らす人々はほとんど品物がないために、農村部へ移り住む人も出る始末です。そこで何が行われているかと言えば、窃盗、盗みの横行です。治安も悪くなっています。
このような中で、ミサイル実験など、莫大な金のかかる実験を繰り返すとは、よほどの理由がなければならないでしょう。
やはり基本的には、バイデン政権に対する不満、米国へのいら立ちがあります。ですからここは強硬に出るしかないと心を決めたのでしょう。
トランプは少なくとも北朝鮮への厳しい態度を持ってはいましたが、心の温かさがありました。ボルトンがあまりにも強硬過ぎたので人事してしまったということまでありました。
シンガポールでの首脳会談(2018年6月)も行いましたし、元山などへの観光投資なども約束しました。経済制裁で困窮している北朝鮮のことを考えているというサインは十分に見せました。
その心の温かさを見たからこそ、核ミサイル実験をトランプ政権下ではモラトリアム(一定期間の延長など)にすることを金正恩(キム・ジョンウン)は決断したのです。
こういうお互いの信頼感が醸成されなければ、国際関係は進展しません。バイデンは優しそうな顔をしているのとは反対に心が冷たいと見られても仕方ないでしょう。
韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁は、2022年2月11日から14日まで、世界のトップリーダーたちを集めて、韓半島平和サミットを開催されますが、それは北朝鮮を中国やロシアの懐に追い込むことではなく、北朝鮮を愛でもって溶かしていく戦略を生み出すサミットとして、世界のトップ層の英知を集めていらっしゃるのです。
まさに、「THINK TANK 2022」です。
反日、反米の政治路線を韓国が走るならば、経済的に米国や日本の援助を得られなくなります。韓半島の平和統一にとって、反日・反米は非常に有害無益なものです。
そのような観点から見ると、目の前に迫った3月9日の韓国大統領選挙は、反日路線を考え直し、反米的な姿勢を修復すると言っている尹錫悦(ユン・ソギュル)候補が当選することを期待したいと思います。
李在明(イ・ジェミョン)候補が伸び悩み、頭打ちになっている中、尹錫悦氏が挽回し始めている状況には希望が持てます。
半島の自由統一、平和統一を推進する最大条件は、韓国、日本、米国の三大国家が足並みをそろえ、一体化することです。
バイデンではその条件が整いません。彼が大統領になってから、ウクライナ危機や台湾危機が併発し、戦争のにおいが漂う結果になりました。米国も根本的に変わる必要があります。