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トムヤムクンを召し上がれ
バンコク生活記③
〝彼女たち〟も、「温かい家庭」を求めている!!

 2013年から2014年まで『トゥデイズ・ワールド ジャパン』に掲載された懐かしのエッセー「トムヤムクンを召し上がれ バンコク生活記③」の一部を、特別にBlessed Lifeでお届けします!

 筆者のアルンローッゴーソン真理子さんは、6500双のタイ日家庭です。

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 タイと言えばトムヤムクン。そして、その次に有名なのはゲイでしょうか!? 

 この国ではどこに行っても会える身近な存在です。職場でもそうですが、タイに住んでいると生活圏内にゲイの文化があります。テレビドラマの中にもよく脇役で登場します。

 有名デパートの婦人服売り場はもちろん、化粧品売り場にもゲイのメーキャップアーティストがいるのが当たり前で、彼らは優秀でかつ、気が利きます。私もそのサービス精神に感動して余計な買い物までしてしまっているような気がします。
 日本人オーナーの会社でも、よく雇われていて、それだけ実力を買われているということでしょう。

 普段、私は国際病院で通訳をしています。仕事仲間で、最も仕事ができて信頼できるのは、ゲイの男性です。見た目は男性ですが、中身が女性なのです。

 この前、その彼に「わが家では毎日時間を決めて、ファミリーミーティングをして、お互いの顔を見ながら一日の出来事を報告し合う時間を持っているのよ」と訓読会のことを話したら、「なんて素晴らしい、かわいい家族なの!」と目を輝かせて、もっと家族の話が聞きたいという反応を示してきたのです。

 彼の父親はすぐに怒鳴り、人の話を聞かないタイプで、お母さんはそれをなだめてきたそうです。とにかく、「家族が輪になって子供の話を親が聞くなんて、ありえない世界だ」と言うのです。その話を聞いて、ゲイであれ、誰であれ、「温かい家庭」というものは本心に響くものがあり、それを求めていたという事実を知りました。

 ある日、受診に来た患者さんの中にこんな人がいました。
 見た目はまさしく女性のタイ人の患者さんとヨーロッパ人男性でした。受付登録をする際、女性のIDカードを見たら、タイ文字表記で「Mr. ○○」とあり、彼には秘密にしてほしいとのこと。ヨーロッパ人男性はタイ語が分かりませんでした。
 それからというもの、性転換した人であれ、していない人であれ、ゲイの人は美しい場合が多いので、綺麗な女性を見ると、思わずじっくり観察する変な癖がつきました。

 このように「彼女たち」は社会でとても目立ちますが、一般的にタイでは女性が強く、会社でも女性マネジャーが多いです。子供たちは、家計もしっかりとサポートしている母親を尊敬し大切にしており、男性でもマザコンではないかと思うくらいに母親を慕っています。

 女性の時代と言われる今、私たちも祝福家庭としてタイの人々に負けることなく二世をしっかりと育て、この地に天一国の礎を築いていきたいと思っています。

〜おまけ〜

▲花市場。容器の中はジャスミンの花のつぼみ


▲ジャスミンのつぼみで作った「ポンマライ」(花環)を母の日にささげることもある

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(この記事は、『トゥデイズ・ワールド ジャパン』2013年7月号に掲載されたものです)