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コラム・週刊Blessed Life 191
韓国大統領選挙に向けて本格始動!

新海 一朗

 2022年3月に実施される韓国大統領選挙の与野党候補が確定しました。
 保守系の野党「国民の力」は11月5日に尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検事総長を大統領候補に選出しました。執権与党の「共に民主党」からは李在明(イ・ジェミョン)元京畿道知事が候補に確定していますから、事実上、この二人を中心に大統領選挙に向けた本格的な戦いが始まります。
 二人の戦いは、拮抗(きっこう)した予測の難しいものになるとの見方が一般的です。

 しかし文在寅(ムン・ジェイン)政権は、内政において、また外交面において失政を重ねてきましたから、そのことによって、国民の間には野党「国民の力」で政権交代を望むという空気が高まってきていることも否定できません。

 文在寅政権の内政面の失策は、何と言っても不動産政策にあらわに出ました。文在寅政権で2倍に暴騰した住宅価格と借家難、不動産投機熱に対する国民の怒りの声、そういう状況をつくり上げる中で、何の解決策も執らなかった無策ぶり、そして無住宅住民(半地下に居住する青年たち、新婚夫婦、LH〈韓国土地住宅公社による国営住宅〉借家人など)の悲しみと怒りはろうそく集会という糾弾活動まで招く結果になっています。「二度とこうした荒唐無稽な国に住みたくない」という声まで出る始末です。

 その一方で金持ちの不動産税は引き下げ、賃貸事業者には特恵を与え、借金をしてまで投資する人たちによって国全体が不動産投機国家になったと批判の声が絶えません。

 外交面に目を向けると、日韓関係、米韓関係がギクシャクするどころか、日韓関係に至っては、ことごとく対立的な関係をつくり上げる強固な反日政策を展開した結果、両国は絶縁関係にも等しい最悪の状態が生まれています。

 文在寅政権を受け継ぐ李在明氏は、現政権の不動産政策の失敗を改善すべく、貧富の格差や暴騰した住宅価格を意識して低価格の公共住宅を供給する公約を掲げています。
 李在明氏は、北朝鮮との関係改善を最優先する点では現政権の路線を継承する立場に立っています。
 一方の尹錫悦氏は、若者のための「青年原価住宅」を任期中に30万戸供給するという政策を発表しています。

 はなはだしく傷ついた不動産政策への対策では、両候補とも配慮している点で似ていますが、外交面、特に日本との関係の在り方において、大きな違いがあります。
 李在明氏は北朝鮮を最優先することを言明、それとは対照的に、尹錫悦氏は米韓関係の強化を重点的な課題にして、QUAD(米国、日本、インド、オーストラリアの4カ国戦略対話)に加入する可能性もあると言っています。

 また、日本との関係改善が重要だと主張し、日本は「自由民主主義と市場経済価値を共有する隣人」であるとし、「共栄の未来のための新しいビジョンを、首脳会談を通じて盛り込みたい」旨、明らかにしています。

 李在明、尹錫悦、二人の候補の政策を見る限り、日本から見て付き合いやすい候補がどちらであるかは明白です。
 尹氏は日韓米3カ国の一体化を目指していることがはっきりとしています。それが未来のために重要であり、必要なことだという認識を示しているのです。