https://www.kogensha.jp

愛と人生の道しるべ 34

 もう一度皆さまにぜひ読んでいただきたい、編集部イチオシ!なコンテンツをご紹介。
 「愛と人生の道しるべ」を毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

酒井 正樹・著

(光言社・刊『若者に贈る~愛と人生の道しるべ』より)

第9章 愛の力を家庭から社会へ

大切な祖父母、両親、兄弟との情関係
 両親との関係が人格の根に当たるとすれば、兄弟姉妹や祖父母との関係は、幹となり枝となる重要な要素です。

 昔から長男やひとりっ子の性格について語られてきましたが、兄弟が何人いるかは人の性格形成に大きな影響を与えます。例えば、姉や妹がいる男性は、思春期になっても女性に自然に接することができます。また、兄弟姉妹が多ければ、小さい頃から人と接することの難しさを身をもって学んでいくことができます。
 祖父母がいれば、老人を尊敬し、その知恵を学ぶことを覚えますから、社会人になってからも、自分の祖父母と同じような年代の老人を大切にし、老人からも愛されます。

 人当たりが柔らかで、誰からも好かれる人は、祖父母、両親、多くの兄弟姉妹たちの中で大切にされ、愛されて育ってきたという場合が多く、いつもむっつりしていて、人の善意を信じようとせず誰からも嫌われる人は、愛情のない冷たい家庭で育っており、当の本人も自分のそういう性格に苦しんでいる場合が多いのです。

 愛されなかったという愛の恨みは、誰もが心の奥底に持っていますが、この心の歪(ゆが) みがどの程度のものかを、まず自分で正確につかんでおかなければなりません。父親像に歪みがあるのか、母親像に歪みがあるのかをチェックし、心の修正作業に取り組むのです。

 歪んできた原因は両親にあるのですから、まず自分が得られなかった理想とする父親像、母親像を具体的に探し求めなければなりません。それは過去の聖人や偉人と呼ばれる人よりも、親しみを感じる叔父さんや尊敬する教師などのほうが、身近で具体的なので望ましいでしょう。

 そして、その代理となった父親と母親を通して、過去の心の恨みを解放する作業を繰り返すのです。信頼して報告・相談し、喜んでもらうことによって、心が少しずつ生まれ変わっていくのです。

 心に秘めた問題を相談できる人がいるというだけで、ほとんどすべての問題が解決されてしまいます。誰か聞いてくれる人がいて、その人に心の悩みを打ち明けることによって、閉ざされた心が開放されていくのです。

 親身になって自分のことを聞いてもらう回数が多ければ多いほど、心は溶かされていくのです。それは薄皮を剥がすように少しずつではあるのですが、何年かで必ず解決されると信じてください。

 心の歪みを修正し、愛されることよりも愛することを願う人間となり、家庭を築き子供を育てていくならば、溢(あふ)れんばかりの愛の力が家庭から社会へと広がり、世界は確実に生まれ変わっていくことになるはずです。

---

 次回は、「文学や哲学には愛についての解答がない」をお届けします。


◆『愛と人生の道しるべ』を書籍でご覧になりたいかたはコチラ