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コラム・週刊Blessed Life 189
どうする? 中国恒大集団の巨大債務!

新海 一朗

 中国の不動産開発業者である恒大集団(エバーグランデ・グループ/Evergrande Group)が、負債総額33.4兆円という目の飛び出るような巨大債務を抱えて、債務不履行(デフォルト)になる恐れがあるというニュースが世界を駆け回ってから2カ月近くになりましたが、このエバグランデの問題は一体どうなるのでしょうか。

 もし債務不履行になれば、債権の利息が支払われない、債権の額面金額の返済(償還)ができないなどの状態となり、投資者への義務を果たせなくなり、取り付け騒ぎなど大変な社会騒乱が発生します。

 恒大集団は、中国大手の不動産デベロッパー会社ですが、中国国内の280以上の都市で1,300以上の不動産関連事業を行い、860社以上の企業と戦略提携している大企業です。
 恒大集団が急成長した理由は、中国国内での不動産価格の上昇に次ぐ上昇です。

 不動産を住むものとして購入する人もいます(これが原則)が、中国では金持ちが投資目的で購入することも多く、投機的な要素をはらんでいるため、不動産売買は高騰する傾向があります。

 誰のための不動産か。お金のない人々が入手できる不動産ではないのです。それなのに、資金を募って造り続けてきました。明らかに、過剰なマンション建設を行っているわけであり、今や建設途中にある建物を不要のものとして爆破するありさまです。

 中国の経済格差は非常に大きく、資産の保有額を見れば、世界の上位10%に入る中国人が1億人以上いる一方(大変な資産家たち)、6億人の人々が月当たり17,000円以下で暮らす(その日その日をやっと暮らす極貧層)という状況です。

 そういう格差を問題視して習近平主席は、「共同富裕」という政策を8月に発表しました。不動産売買はまさに1億人の富裕層が楽しむマネーゲームの様相を帯びているにすぎないとすれば、その不動産市場にも限界が見え始めたということでしょうか。
 いわゆる、バブル崩壊です。不動産売買で成長してきた中国経済の成長に陰りが見えてきたということです。

 金持ちが投機的に買いあさったマンションを一体誰が買うのかという問題です。高騰したマンションに手を出すほどのゆとりのある人を見つけるのは困難でしょう。

 今後、恒大集団はいくつもの返済を乗り越えていかなければなりません。年末までのものを見ても大変ですが、来年の春あたりまでも、立て続けに返済しなければなりません。果たして、どのようにして乗り越えていくのか。

 政府は救済する意志を見せていません。中国当局は引き締めに乗り出していますから、資金繰りの悪化は目に見えています。
 恒大集団の経営がこのまま無事に続くとは思えません。何らかの異変に見舞われるでしょう。

 習近平政権は、不動産価格が高騰し、国民の不満が爆発することを警戒していますから、「共同富裕」、いわゆる「格差是正」の方針を打ち出したばかりです。
 不動産会社への資金調達に制限を加え、引き締め政策を実施する習近平政権の前になすすべを失ったかに見える恒大集団の焦りを見る思いがします。

 中国の国家統制型の経済が、恒大集団のような債務の肥大化を招いた多くの企業を抱えている国内の現状をどうするのか。これからが中国の正念場だと見てよいでしょう。