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コラム・週刊Blessed Life 186
岸田文雄・第100代首相の誕生で日本の新政権が出発

新海 一朗

 2021年9月29日、都内のホテルで、任期満了に伴う自民党の総裁選挙が行われ、第27代総裁に岸田文雄氏が選出されました。ここに事実上、100代目に当たる日本の首相に岸田文雄氏が決定し、岸田内閣がこれからの日本政治の舵取りを任せられたことになります。

 米国と中国間の政治的、軍事的な緊張と相克を頂点に、世界の激変と歴史の大変化が押し寄せている重要な時期に当たり、日本政治が岸田首相および岸田首相がつくり上げる政権の力量と手腕にかかることになったのは事実であり、そのことの意味を解くことは、軽々(けいけい)に言えるものではなく、見守っていくしかありません。

▲首相官邸(永田町)

 まず国内政治では、新型コロナで落ち込んだ経済をいかに回復させるか、コロナ対策か経済の回復かという課題が突き付けられています。
 これは、各国においても同様の課題を背負っており、新型コロナの変異株との闘いが続く中、ワクチン接種の政策対応もあり、経済回復といっても、まだまだ予断を許さない状況が続いています。

 深刻なのは、外交面において、中国の台湾に対する軍事挑発に日本としていかに対応するか、米国ならびに台湾との綿密な作戦と協力が求められており、有事の際の実効性のある軍事作戦の遂行が要請されていると見なければなりません。

 台湾の報道によれば、中国は10月1日、台湾が設定する防空識別圏(ADIZ)に中国軍機を38機侵入させており、さらに10月2日にも延べ39機の中国軍機が侵入していることが確認されたと発表しています。

 10月1日の国慶節(建国記念日)に当たっての中国の軍事力の誇示であることはもちろんですが、独裁者の道を踏み固める習近平主席が断固として「台湾奪取」だけはやり遂げ、それによって政敵を退け、人民の支持を不動のものにするという意図を持っている以上、中国の台湾侵攻という事態には、米国も日本も全く気が抜けません。

 北朝鮮のミサイル実験は、9月に4回行われたと北朝鮮が発表しており、しかも「極超音速ミサイル」の新兵器の発射実験まで行い、米国への挑発を高めています。
 そのような状況を見るとき、朝鮮半島の分断問題を戦争によってではなく、平和裏に統一の方向へと向かわしめる方策を、日本としていかに推し進めていくかが大きな課題になります。

 結局、韓国、米国との足並みをそろえる努力なしには、統一問題を推進する道はないということです。口も利きたくないほどに状況が悪化した日韓の亀裂をどう解決するのか、このような日韓米の一体化という外交上の最重要課題が岸田政権に重くのしかかっていることは間違いないことであり、待ったなしの外交課題であると言わざるを得ません。

 以上のような事柄に対処していかなければならない岸田政権は、相当の外交能力を発揮することを余儀なくされ、生半可なことでは世界の激動と激変に対処できない恐れがあります。

 希望的な観測を言えばいくらでも言えますが、現実の世界情勢は卓越したリーダーシップを執る指導者を求めていることは確かなことです。

 岸田文雄首相が政権を掌握するこの期間は、あまりにも重要な時期に当たっており、この時期に岸田政権が誕生したことの意義を冷静に受け止め、この政権が日本としての平和貢献(中国問題、北朝鮮問題、韓国問題)を果たすことを心から祈らずにはおれません。