青少年事情と教育を考える 171
生徒指導の新しい指針で「家庭との連携」を要望

ナビゲーター:中田 孝誠

 前回、凶悪事件と家庭、特に幼少期の愛着の問題に触れました。今回は凶悪事件というわけではありませんが、学校の生徒指導と家庭について、最近の動きを紹介したいと思います。

 文部科学省では現在、学校の生徒指導の指針となる「生徒指導提要」について有識者会議で見直しを行っています。
 「生徒指導提要」は、小学校から高校までの生徒指導の考え方や指導方法をまとめたものです。学校を取り巻く環境の変化に合わせて、これを見直していこうというわけです。

 会議の議論の中で出た意見が、学校と家庭との連携でした。いじめ、不登校といった生徒指導の課題は家庭が原因になっていることも多く、学校から家庭に働き掛け、連携して取り組むことができるように内容を充実してほしいという意見です。

 例えば、小学生で不登校の要因として挙げられているのは、本人の「無気力・不安」が41.1%、「親子の関わり方」が16.7%、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が10.2%です(令和元年度)。暴力行為については、「特別な支援を必要とする児童の増加」に次いで、「家庭環境の変化や親子関係の問題」や「家庭生活の乱れや基本的な生活習慣の未定着」があると指摘されています。

 もちろん、今も保護者と協力している学校(教師)は多いですが、どうしても学校の比重が大きくなりがちです。
 例えば、スマホを使ったSNSのトラブルなどは、学校の友人同士が関係することもあるため学校が対応していますが、家庭に意識啓発する必要があるとの意見も出ています。

 インターネット依存による睡眠不足や視力低下などは、家庭が主体になって取り組まなければ解決はできません。そのため、学校の守備範囲、家庭が中心的に担うものといった内容を、明確にすべきという意見もあります。

 学校と家庭の連携(そこに地域を含むこともあります)の必要性は、以前からいわれてきました。子供たちのために、お互いがお互いの役割を果たすことがますます重要になるということでしょう。